- データを集めて表にし、前月と比べる作業はAIに任せられる
- 構成・見出しの型・出典の書き方を毎回そろえると、AIでも同じ質のレポートが出せる
- 何を見るか、なぜか、何をするかは人が決める。大事な数字は元データと突き合わせる
こんにちは、アースダイバー代表の佐藤です。ご支援先との定例で出すマーケティングのレポートを、弊社はいま、Claudeと一緒に作っています。60枚ほどの月次レポートで、以前は作るのに丸1〜2日かかっていたものが、私の体感では数時間で出せるようになりました。
「うちも月次レポートをAIで作れないか」というご相談もいただくようになりました。ただ、数字の表をAIにまとめさせるだけでは、次の打ち手につながる報告にはなりません。
この記事では、マーケティングの月次レポートをAIで作るときに、何をAIに任せ、何を人が決めるのかを、海外の事例と、弊社の実際の月次レポートの作り方から紹介します。弊社の月次レポートは、ご支援先の名前と数字を伏せて、一部をお見せします。
目次
マーケティングの月次レポートで、AIに任せられること
月次レポートの作業は、大きく4つに分かれます。
| 作業 | 中身 | AIに任せられるか |
|---|---|---|
| データを集める | GA4・Search Console・広告・CRMなどから数字を出す | 任せられる。つなぎ方を一度決めれば、毎回同じ手順で出せる |
| 数字を読む | 前月・前年と比べ、何が増え、何が減ったかを見る | 任せられる。ただし、数え方の条件を毎回そろえる必要がある |
| 原因を考える | なぜ増えたか・減ったかを、データで確かめる | 半分は任せられる。仮説を出し、確かめる計算はAIが速い |
| 打ち手を決める | 来月なにをするか、何を相談するか | 人が決める。AIの案は材料にする |

レポート作りの時間の多くは、上の2つ、データを集めて表やグラフにする作業にかかっていました。ここはAIが得意です。一方で、どの数字を見るべきか、何を相談すべきかは、ご支援先の事情を知っている人が決める必要があります。
海外では、どう使われているか
海外では、マーケティングの定例のレポートをAIで作る例が、具体的な手順つきで公開されるようになりました。とくに参考になる2つの例を、手順まで詳しく紹介します。
Anthropic:週次のレポートが、最大2日から最大2時間に
Claudeを開発するAnthropicのマーケティングの運用チームでは、担当者が毎週のマーケティングの指標のレポートに、最大で2日を使っていました。いまはClaude Coworkで作り、最大2時間で終わるそうです(Anthropic、2026年7月8日)。
毎週の流れ
| いつ | 誰が | 何をするか |
|---|---|---|
| 日曜の夜 | Claude(予定のタスク) | 前週の振り返りと最新の会議の記録を読み、Slackで営業がいま何に力を入れているかを確かめ、データの置き場に問い合わせる。指標の表と、注目すべき点の案をフォルダにまとめておく |
| 月曜の朝 | 担当者 | 表と見出しの案を見て、今週なにを中心に伝えるかを決める |
| 月曜 | Claude | 決めた中心に沿って根拠を足し、経営向けのスライドを1枚作る。変わったこと・その理由・各チームが何をしているかを並べる |
| 月曜 | Claude | 出てきた宿題を、タスク管理のAsanaに登録する |
| 作業の終わり | 担当者とClaude | 今回直したことを、次回の手順に書き足す |

手順は3つに分けている
- 準備の手順:注目すべき点・見出し・根拠をそろえて、レポートを組み立てる
- 校正の手順:下書きの数字を1つずつ、確かなデータと突き合わせる
- 宿題の手順:次にやることをAsanaのタスクにする
AIが推測で埋めない
営業の組織が変わったあと、マーケティングで出している数字と、営業の数字が合わなくなったことがありました。Claudeは推測で埋めることはしないで、食い違いを示して、どう扱うかを担当者に聞いたそうです。このときの扱い方も、次回からの手順に書き足されています。四半期の変わり目には、四半期の振り返りの資料も読ませ、四半期の計画を先頭に置くといった使い分けもしています。
AIに集めさせ、伝える中心は人が決め、数字は1つずつ突き合わせる。直したことは次回の手順に足していく。弊社のやり方とほぼ同じ形です。
Anthropic:営業担当ごとの「月曜のお知らせ」を自動で届ける
同じAnthropicのフィールドマーケティングの担当者は、営業担当ごとに、その週に動くべきことをまとめたお知らせを、毎週月曜の朝にSlackで届ける仕組みを、Claude Codeで作りました(Anthropic、2026年8月24日)。以前は、日曜の夜に何時間もかけて情報を集め、スライドを作っていたそうです。
お知らせに入ること
- 今週やるべきことを3つ
- 担当する会社に関係するイベント
- すでにウェビナーに申し込んでいる、担当先の人
- お客様に送るとよい資料
- そのほかのフォローの提案
マネージャーには、チーム全員分をまとめたものが届きます。データは、HubSpot・Clay・Salesforceのデータを集めたBigQueryと、CRMの担当エリア、Slackの更新、イベントの一覧のシートです。
受け取った人の指摘を、ルールにしていく
最初は10人ほどの営業担当で試し、指摘をそのまま指示のルールにしていきました。最初の1週間でルールは9つになり、記事ではそのうちの次のようなものが紹介されています。
- URLを作らない。リンクは、元のシートからそのまま写したものだけにする
- 申し込みのリンクがないイベントは載せない
- 相手の役職が、イベントの対象と合わない人は外す
- 業種で絞る。小売りの会社に、金融向けのイベントの案内を送らない
- 担当先がまだない新しい営業担当には、空のお知らせの代わりに短いあいさつを送る
- イベントの一覧の列の並びがよく変わるので、毎回はじめに見出しの行を読んで確かめる
ある経営層向けの夕食会では、1週間で申し込みが倍になったそうです。いまは担当者が中身を読むだけで、送る前の承認は要らなくなり、休暇中も問題なく送られました。
BIツールにも、話しかけて聞く機能が入った
Googleのデータ分析ツールLookerには、ふだんの言葉で質問すると、グラフと説明で答える機能が入りました。「先月の靴の売上のサイト流入を見せて」と聞き、続けて「支払い方法ごとに分けて、面グラフにして」と頼めます。「どう計算したか」を言葉で説明する機能もあり、AIが出した数字の根拠を確かめられます(Google Cloud、2025年11月13日)。
ただ、仕事に組み込めている会社はまだ少ない
マーケティングのデータの連携ツールを出すSupermetricsが、米国・英国・ドイツ・オーストラリア・シンガポールのマーケター435人に聞いた調査では、AIを仕事の流れに完全に組み込めているのは6%でした。80%はAIを取り入れるよう圧力を感じていると答えています。データの担当チームに手伝いを頼むと、半数が1〜3営業日待つとも答えています(Supermetrics、2026年。発表のお知らせ、2026年2月24日)。

道具はそろってきましたが、レポートの形や手順まで決めて、毎回回せている会社はまだ少ない、というのが現状だと思います。
弊社の使い方:月次レポートを、Claudeと作る
弊社がBtoB企業のオウンドメディアのご支援で、定例のたびに出している月次レポートの作り方を紹介します。
使っているデータ
レポートの材料は、次のデータです。
- GA4(BigQueryに書き出したデータ):記事ごとの流入とコンバージョン
- Search Console:クエリごとのクリックと順位
- Salesforce:リードと商談の件数(ご支援先から受け取るシート)
- Ahrefs:キーワードの検索数
- AI検索の計測シート:ChatGPTに毎週同じ質問をして、ご支援先の名前が挙がったかを記録したもの
Claudeには、これらのデータを読ませ、集計のための計算を書かせ、結果をスライドにするところまで頼んでいます。
作る手順と、Claudeと人の分担
月次レポートは、次の6つの手順で作っています。1〜4はClaude、5と6は人の仕事です。

- データを取り出す。 GA4はBigQueryに書き出したデータから、Claudeが集計のSQLを書いて取り出します。Search ConsoleやSalesforceは、書き出したシートを読ませます。
- 集計して、前回と比べる。 前月・前年と比べるときは、1日あたりにならすなど、毎回同じ条件にそろえます。
- 原因の仮説を出し、計算で確かめる。 たとえば、コンバージョンが減ったとき、「流入が減った分」と「コンバージョン率が下がった分」に分けて計算させます。
- スライドの下書きを作る。 前回のレポートと同じ構成・同じ型で作らせます。
- 数字を元データと突き合わせる。 結論に使う数字は、元の画面や書き出しと照らし合わせます。
- 伝える中心と、次の打ち手を決める。 ご支援先の事情や、前回の定例で話したことを踏まえて、人が決めます。
Claudeに渡すもの
毎回、同じものを渡しています。渡すものが同じなので、返ってくるものも毎回同じ形になります。

いちばん効いているのは、前回のレポートを見本として渡すことです。構成や見出しの書き方、出典の書き方を一から説明しなくても、前回と同じ形で作ってくれます。
何を指示しているか
いまは、長い命令文を工夫するより、「レポートの型」を決めて渡すことのほうが大事だと考えています。弊社が決めている型は、次のようなものです。
| 決めていること | 中身 |
|---|---|
| 目的と読み手 | ご支援先のマーケティングの責任者が、定例の場で、変化と次の打ち手を決めるための資料 |
| 構成 | これまでの推移 → 今月の変化 → なぜか → どうするか → AI検索、の順。最後に付録 |
| 1枚目 | 各章の結論と、ご相談したいことを1枚にまとめる |
| 見出し | 「テーマ|結論」の一文。見出しだけで言いたいことがわかるようにする |
| 比べ方 | 前月・前年と比べる。月の途中の値は1日あたりにならす |
| 書き分け | データで確かめたことと、一般的な傾向にとどまることを分けて書く |
| 出典 | どのデータの、いつからいつまでを、どう数えたかを、ページごとに書く |
| タグ | 「おさらい」「数値の更新」「新しい分析」「今回の変更」をページの右上に付ける |
1ページの中も、毎回同じ順番にしています。

実際の指示は、たとえば次のような内容です。
実際の指示(音声入力のまま)前回の月次レポートと同じ構成・同じ型で、10月分を作ってください。データは、BigQueryのGA4、Search Consoleの書き出し、Salesforceのシート、AI検索の計測シートです。10月は24日までの途中の値なので、9月・前年10月とは1日あたりで比べてください。コンバージョンが9月より減っているので、記事ごとの変化・外部の要因・構造的な課題のどれによるものかを確かめてください。データが食い違っているところ、確かめられなかったことは、推測で埋めないで、別にまとめてください。
型が決まっていれば、毎回の指示は「今月の分を作って」と「今月とくに確かめたいこと」だけで足ります。
資料の構成は、毎回同じにする
資料は、毎回同じ構成で作ります。

「これまでの推移」「今月の変化」「なぜか」「どうするか」の順に並べ、最後にAI検索での見え方を置いています。構成が毎回同じなので、Claudeにも同じ手順で作ってもらえますし、読む側も、どこを見ればいいかがすぐにわかります。
各ページの右上には、そのページが「前回までのおさらい」「数値の更新」「今回はじめて出す分析」「計測の方法を変えた点」のどれに当たるかを示すタグを付けています。60枚あっても、新しい分析だけを拾って読めるようにするためです。
1枚目に、結論をまとめる

資料の冒頭に、各章の結論と、ご相談したいことを1枚にまとめます。定例の場では、まずこの1枚を見ながら話します。
見出しは、結論の一文にする
どのページも、見出しを「テーマ|結論」の形にしています。グラフや表を見なくても、見出しを読めば何が言いたいかがわかるようにするためです。

このページでは、コンバージョンが減った原因を、記事ごとの変化・外部の要因・構造的な課題の3つに分けて確かめています。減った分を「流入が減った分」と「コンバージョン率が下がった分」に分ける計算も、Claudeに書かせたものです。
外部の要因も、データで確かめる
数字が動いたとき、季節やGoogleのアップデートのせいにしてしまいがちです。弊社のレポートでは、外部の要因を一覧にして、今回のデータで確かめられたことと、一般的な傾向にとどまることを分けて書いています。

最後は、次にやることにする

レポートの最後は、次に進めたいことと、その根拠です。ここは、AIの案をもとに、私たちが決めています。ご支援先の社内の事情や、前回の定例で話したことを踏まえて、優先順位をつけるのは人の仕事です。
AI検索での見え方も、毎週測る

いまのマーケティングのレポートには、AI検索での見え方も欠かせないと考えています。弊社では、買い手が聞きそうな質問をChatGPTに毎週聞き、ご支援先と競合の名前が挙がった割合を記録しています。測り方はAI検索診断の記事にまとめています。
AIでレポートを作るときに、気をつけていること
AIに任せる量が増えるほど、数字の誤りに気づきにくくなります。弊社では、次のことを決めています。
- 出典と条件を、ページごとに書く。 どのデータの、いつからいつまでを、どう数えたかを、各ページの下に書きます。データの条件をまとめたページも、毎回付けます。
- 数え方を変えたら、明記する。 計測の方法を変えたときは「今回の変更」のタグを付け、前回の数字と比べられない点を書きます。
- 大事な数字は、元のデータと突き合わせる。 合計や前年比など、結論に使う数字は、元の画面や書き出しと照らし合わせてから出します。
- わからないことは、わからないと書く。 データで確かめられなかったことは「一般的な傾向。今回のデータでは確かめられていない」と書き分けます。
月次レポートをAIで作り始めるには
いきなりすべてをAIに任せるより、次の順で進めるのがおすすめです。
- 毎月見る数字と、見る順番を決める。 構成が決まっていないと、AIも毎回違うものを作ります。
- データの出し方を決める。 GA4・Search Console・広告・CRMから、どの期間の、どの数字を出すか。書き出しの形をそろえておくと、AIに渡しやすくなります。
- 前回のレポートをAIに渡して、同じ形で作らせる。 見出しの書き方や、出典の書き方も、前回のものを見本にします。
- 人が読んで、打ち手を決める。 AIが出した読み取りと案を、ご支援先や社内の事情に照らして直します。
私たちも、最初から今の形で作れていたのではありません。回を重ねながら、見出しの型や、データの条件の書き方を少しずつ足してきました。
まとめ
マーケティングの月次レポートのうち、データを集めて、表やグラフにして、前月と比べる作業は、AIに任せられるようになりました。弊社では、60枚ほどの月次レポートを、Claudeと一緒に数時間で作っています。
ただ、何を見るべきか、なぜそうなったか、来月なにをするかを決めるのは人です。AIに任せる部分が増えるほど、出典と条件を書き、大事な数字を突き合わせることが大切になります。
参考:Anthropic「How Anthropic's marketing operations team uses Claude Cowork to automate reporting and campaign builds」(2026年7月8日)、Anthropic「How an Anthropic field marketer uses Claude Code to send weekly personalized updates to every sales rep」(2026年8月24日)、Google Cloud「Conversational Analytics in Looker is now generally available」(2025年11月13日)、Supermetrics「The 2026 Marketing Data Report」


