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自然検索の流入減は、AIのせいだけ?
米仏1.8万サイトの最新分析と、広告の表示の変化から

佐藤 大貴佐藤 大貴 公開 2026.10.28更新 2026.10.28
自然検索の流入減は、AIのせいだけ?米仏1.8万サイトの最新分析と、広告の表示の変化から
この記事のポイント
  • 米仏の約1.8万サイトの分析では、自然検索の訪問は2年で米国13%・フランス24%減。ただし減少は大きなサイトとメディアに偏っていた
  • 同じ2年で検索広告からの訪問は米国で21%増。広告がまとめて上に並ぶ表示に変わり、自然検索の1位は画面の中ほどまで下がっている
  • AIからの訪問はまだ全訪問の約0.5%。流入減の理由をAIだけに決めつけず、広告や更新の影響を分け、AIの答えの中の自社は別に測る

こんにちは、アースダイバー代表の佐藤です。「検索からの流入が減った。AIのせいだろうか」というご相談を、毎週のようにいただきます。

その問いに、海外から新しいデータが出ました。米国のSEOの専門家、Kevin Indig氏が2026年10月26日に公開した分析です。米国とフランスの約1.8万サイトの、3年分の推定訪問数を調べたもので、結論は「自然検索の流入は減っている。でも、すべてがAIのせいではない」でした(Growth Memo)。

この記事では、その分析の中身を紹介します。分析の中でも見落とされやすい「検索広告の表示の変化」は、Googleの発表や別の調査もあわせて、少しくわしく調べました。最後に、日本の企業がこの結果をどう読めばいいかを、弊社の見解としてまとめます。

先に、ポイントを3つにまとめておきます。

  1. 自然検索の訪問は、2年で米国13%・フランス24%減った。ただし、減った分の4〜5割は上位約1%の大きなサイトに集中していて、メディアを除くと米国の減少は1割に満たない
  2. 同じ2年で、検索広告からの訪問は米国で21%増えた。広告がまとめて上に並ぶ表示に変わり、自然検索の1位は、画面の中ほどまで下がっている
  3. AIからの訪問は、まだ全訪問の約0.5%。流入が減った理由をAIだけに決めつけず、近いサイトと比べ、広告や更新の影響を分け、AIの答えの中の自社は別に測る
目次
  1. 1何が発表されたか:米仏の約1.8万サイトを3年分調べた分析
  2. 2自然検索は減っている。ただし、思ったほどではない
  3. 3減り方は、一部のサイトに集中している
  4. 4広告が、自然検索の表示を押し下げている
  5. 5AIからの訪問は、まだ200回に1回
  6. 6Indig氏の結論:「AIがすべてを奪った」は誤りになりうる
  7. 7弊社の見解:流入が減った理由を、分けて確かめる
  8. 8注意点:推定の数字で、原因までは示していない
  9. 9よくある質問:自然検索の流入減とAI
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何が発表されたか:米仏の約1.8万サイトを3年分調べた分析

Kevin Indig氏は、ShopifyやG2などでSEOを率いてきた専門家で、ニュースレター「Growth Memo」で検索の分析を発表しています。今回の記事は、2回に分けて公開する分析の1回目です。

使ったデータは、次のとおりです。

項目内容
データSimilarwebの月ごとの推定訪問数
対象米国とフランスで、それぞれ約1万サイト(重なりを除いて1万7,863サイト)
期間2023年9月〜2026年8月
見たもの自然検索・検索広告・AIなど、10の流入経路ごとの訪問数

注意点として、数字は推定の訪問数で、売上や問い合わせではありません。また、Indig氏自身が、AIや広告が自然検索の減少の「原因」だとは証明していないと書いています。ここで紹介するのは、あくまで同じ時期に何が起きていたかの比較です。

自然検索は減っている。ただし、思ったほどではない

2024年8月から2026年8月までの2年で、自然検索からの訪問は、米国で13.2%(199億回→173億回)、フランスで24.4%(40億回→30億回)減りました。すべての訪問に占める自然検索の割合も、2023年9月から米国で20.5%→18.3%、フランスで27.3%→23.1%に下がっています。

減っていることは確かです。ただ、Indig氏は「予想していたよりは小さい」と書いています。

減り方は、一部のサイトに集中している

全体の数字だけを見ると、どのサイトも同じように減ったように見えます。ところが、中身を分けると、減り方には大きな偏りがありました。

  • 大きなサイトに集中:減ったサイトは米国で62.5%、フランスで66.6%。そして、失われた訪問の40.2%(米国)・48.5%(フランス)は、上位約1%のサイトの分でした
  • 小さなサイトはほぼ横ばい:小さなサイトの中央値は、米国で+2.7%、フランスで−1.9%でした
  • メディアで大きく減った:ニュースや情報を発信するメディアのサイトは、2年で約4割減りました。メディアを除くと、米国の減少は7.8%にとどまります
図1:自然検索の訪問は、メディアのサイトで4割以上減った

業界でも差があり、健康・食品・ニュースなどは平均より速く減っていました。調べものの答えをそのまま読める業界ほど、減りやすい傾向が見えます。

フランスの減り方が大きく見えるのは、主に対象のサイトの顔ぶれが違うためでした。両国で同じ1,725サイトに絞ると、2026年6〜8月の1日あたりの訪問は、フランスで5.1%減、米国で3.6%減と、差はかなり小さくなります。

広告が、自然検索の表示を押し下げている

今回の分析で、私がいちばん注目したのは広告の話です。Indig氏は、自然検索の減少の一部は、AIより、検索広告の伸びとアルゴリズムの更新によるものかもしれないと指摘しています。ここは新しい論点なので、元の発表や別の調査もあわせて調べました。

自然検索が減った2年で、広告からの訪問は2割前後増えた

同じ2年で、検索広告からの訪問は、米国で21%、フランスで17.3%増えていました。米国では、広告で増えた訪問の数が、自然検索で減った訪問の約37%にあたります。

図2:自然検索が減った2年で、検索広告からの訪問は2割前後増えた

Googleの決算でも、検索の広告は伸びています。2026年4〜6月期の「Google検索など」の売上は632.7億ドルで、前年同期の541.9億ドルから17%増えました(Alphabet)。Indig氏は、同じ四半期に有料のクリックが13%、クリック単価が3%増えたことも挙げています。

広告がまとめて上に並ぶ表示に変わった

背景のひとつとして、Indig氏は、2025年10月のGoogleの表示の変更を挙げています。

Googleは2025年10月13日、検索結果のテキスト広告を「スポンサー」のひとつの見出しの下にまとめて表示し、その見出しをスクロールしても上に残す形に変えると発表しました。あわせて、広告のまとまりを折りたためるボタンも加えています。Googleは、広告の大きさは変わらず、1つのまとまりに出る広告は最大4件のままだと説明しています。デスクトップとスマホの両方で、世界で順に始まりました(Google)。

一方で、検索順位の計測ツールSTATのTom Capper氏の調査では、主要なキーワードの一部で、広告のまとまりの大きさが2倍になったとされています(Indig氏の記事による)。

自然検索の1位は、画面の中ほどにある

Capper氏は、検索結果を順位で見るのをやめ、画面の上から何ピクセルの位置に表示されるかで測る方法を紹介しています(Search Engine Journal)。

  • デスクトップで、自然検索の1位が最初の画面に収まるのは約57%。スマホでは約40%
  • デスクトップでの1位の位置は、中央値で上から約635ピクセル。ノートパソコンの画面の高さは約800ピクセル
  • 商品やサービスを探す検索では、最初の画面の60%超を広告とショッピングの枠が占め、自然検索は約16%

1位を取っていても、画面のいちばん上にあるとは限らない状態です。順位が同じでもクリックが減ることは、AIがなくても起きます。

アルゴリズムの更新でも、大きく順位を落としたサイトがある

Indig氏は、2026年1月の名前のついていないGoogleの更新で、一部のサイトが大きく順位を落としたことにも触れています。流入が減った時期が更新の時期と重なるなら、AIより先に、更新の影響を疑う必要があります。

AIの答えの中の広告は、日本ではまだ始まっていない

AIによる概要の中の広告は、2025年12月の時点で、英語で検索する12か国に広がっていました。日本は入っていませんでした(PPC Land)。AIモードの中の広告は、米国で試している段階です。日本では、通常の検索結果の広告の表示の変化のほうが、いま影響が大きいと考えています。

なお、Alphabetは、10月28日(米国時間)に7〜9月期の決算を発表する予定です。検索の広告がさらに伸びているかは、そこで確かめられます。

AIからの訪問は、まだ200回に1回

AIからの訪問は、流入の経路の中でいちばん速く伸びています。それでも、自然検索の訪問に対して米国で2.85%、フランスで2.44%。すべての訪問の約0.5%で、200回に1回ほどです。業界では、テクノロジー・行政サービス・採用の分野で多く、エンタメ・食品・スポーツでは少ない傾向でした。

Indig氏は、10月19日に公開した別の分析で、「AIからの訪問は、アクセス解析で『直接』の流入に隠れている」という説も確かめています(Growth Memo)。12サイトのGA4を調べた結果、「直接」の急な増加の多くはボットによるもので、AIによるとみられる訪問は、ほとんど見つかりませんでした。「見つからなかった」という結果で、「ない」と証明したものとは違う点には注意が必要です。

Indig氏の結論:「AIがすべてを奪った」は誤りになりうる

Indig氏の結論は、次の4つです。

  1. 自然検索の減少の一部は、人がChatGPTやGeminiに質問を移したことによるかもしれない(ただし、原因は分析していない)
  2. AIによる概要はクリックを減らすが、AIのチャットほど大きくはない
  3. 広告の伸びとアルゴリズムの更新の影響は、AIのせいにされがちで、小さく見積もられている
  4. 「AIがすべての流入を奪い、SEOは終わった」という単純な見方は、誤りになりうる

そのうえで、AIからの訪問の数を追うことには、あまり意味がないとしています。代わりに、「お客様が自社の分野を調べるときに、AIの答えに自社が出てくるか」を見て、それを事業の成果とつなげることを勧めています。

弊社の見解:流入が減った理由を、分けて確かめる

日本でも、AIによる概要は2024年から出ていて、広告の表示の変更も世界で行われました。米国やフランスと同じことが、日本でも起きている可能性は高いと考えています。

弊社が最近分析した、ある法人向けのサイトでも、自然検索からの流入の減少は、ひとつの理由では説明できませんでした。記事の公開をやめたことによる減少と、それ以外の要因による減少が重なっていました。流入が減ったとき、AIだけを理由にすると、打つ手を間違えます。

流入が減ったときは、次の順番で確かめることをおすすめします。

確かめること見るもの
減ったのは一部のページか、全体かSearch Consoleで、ページごと・キーワードごとのクリックの変化
業界や規模の近いサイトと比べてどうか国や業界の平均より、近いサイトと比べる
順位は落ちていないか順位が落ちた時期が、Googleの更新と重なっていないか
順位は同じなのに、クリックが減っていないか主なキーワードで、広告やAIによる概要が上に出ていないか。実際の検索結果の画面で確かめる
AIの答えの中に、自社は出ているかお客様が聞く質問で、ChatGPT・Gemini・GoogleのAIモードに自社が挙がるか

最後の点は、アクセス解析だけではわかりません。AIの答えの中で自社が挙がるかを測る方法は、LLMO診断とは?で解説しています。AIからの流入をGA4で見る方法は、GA4でAIからの流入を見るQ&Aにまとめています。

Indig氏の分析の2回目が出たら、あわせて紹介する予定です。

注意点:推定の数字で、原因までは示していない

1. 推定の訪問数
Similarwebの推定で、実際のアクセス解析の数字とは違います。売上や問い合わせの増減も示していません。

2. 米国とフランスのデータ
日本のサイトは対象に入っていません。業界の分け方も、Indig氏の暫定のものです。

3. 原因は証明していない
AIや広告が、自然検索の減少の原因だとは示されていません。同じ時期に起きていたことの比較です。この記事は2026年10月28日時点の情報です。

よくある質問:自然検索の流入減とAI

Q. 自然検索の流入が減ったのは、AIのせいですか?
AIの影響もありますが、それだけとは限りません。Kevin Indig氏の分析では、同じ時期に検索広告からの訪問が増え、アルゴリズムの更新で順位を落としたサイトもありました。ページごとのクリックの変化、順位、検索結果の画面を分けて確かめてください。

Q. AIからの流入は、どのくらいありますか?
米国とフランスの約1.8万サイトの推定では、すべての訪問の約0.5%で、200回に1回ほどでした。伸びは速いものの、量はまだ小さい段階です。

Q. 順位は変わらないのに、クリックが減りました。なぜですか?
検索結果の上に、広告やAIによる概要が表示されている可能性があります。STATのTom Capper氏の調査では、デスクトップで自然検索の1位が最初の画面に収まるのは約57%でした。主なキーワードで、実際の検索結果の画面を確かめてください。

Q. SEOをやめて、広告やAI検索対策に予算を移すべきですか?
すぐにやめる必要はないと考えています。Indig氏も、多くの企業は自然検索のクリックの一部を取り戻せる可能性があるとしています。SEOを続けながら、AIの答えの中での自社の扱われ方を別に測るのがよいと考えています。

参考:Growth Memo「Organic traffic is down, but it's not all AI」(2026年10月26日)/Growth Memo「Does AI drive more direct traffic?」(2026年10月19日)/Google「New sponsored results label in Google Search」(2025年10月13日)/Search Engine Journal(Tom Capper氏の調査の紹介)/Alphabet 2026年第2四半期の決算/PPC Land(AIによる概要の広告の対象国)

佐藤 大貴 WRITTEN BY佐藤 大貴アースダイバー株式会社 代表取締役DeNAで男性向けライフスタイルメディアの立ち上げを牽引し、ローンチから約1年半で月間3,000万PV規模に。ポートではコンテンツマーケティング責任者として幅広い領域のメディアを管掌し、上場とM&Aを経験。2019年に創業し、AI時代のマーケティング戦略とその実行を手がける。プロフィールを見る →LinkedIn
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