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【2026年10月末時点】
「従業員なしで会社を回すAI」は本当か
Anthropicが紹介した、決まった時刻に自動で動くClaudeの仕組み

佐藤 大貴佐藤 大貴 公開 2026.10.31更新 2026.10.31
【2026年10月末時点】「従業員なしで会社を回すAI」は本当か。Anthropicが紹介した、決まった時刻に自動で動くClaudeの仕組み
この記事のポイント
  • 話題の投稿の元は、Anthropicが2026年5月6日にサンフランシスコで開いた「Code w/ Claude 2026」のワークショップ。Claude Codeの「スケジュールされたタスク」(当時の名前はルーティン)を、1つつくってみせる内容だった。マニュアルや、会社を丸ごと動かす方法を配ったものではない
  • スケジュールされたタスクは、決めた時刻・外からの呼び出し・GitHubでの出来事をきっかけに、クラウドで動く。パソコンを閉じていても動き、開発者向けのClaude Codeのほか、Claudeのアプリでも決まった時刻に作業を動かせる
  • 人が見ていない間に、本人の名前で仕事をする仕組みなので、任せる範囲を絞り、結果を人が確かめる場所を残すことが大事になる。弊社は、毎週の集計や定点観測のような、繰り返しで結果がはっきりした仕事から任せることを勧めている

こんにちは、アースダイバー代表の佐藤です。SNSで、「Anthropicが、従業員なしで会社を立ち上げるためのマニュアルを無料で公開した」という投稿が広まっています。元になっているのは、Anthropicが2026年5月に開いた開発者向けのイベントで行われた、決まった時刻や出来事をきっかけに、自動で動くAIをつくるワークショップです。

私も、弊社のサイトの更新と公開を、AIに話しかけて進めています(サイトの更新の記事)。ただ、人が話しかけなくても自動で動くとなると、できることと気をつけることが変わります。この記事では、ワークショップで取り上げられた仕組みが何なのか、どこまでできるのかを、Anthropicの公式の説明をもとに整理します。内容は2026年10月末時点のものです。

先に、ポイントを3つにまとめておきます。

  1. 話題の投稿の元は、Anthropicが2026年5月6日にサンフランシスコで開いた「Code w/ Claude 2026」のワークショップ。Claude Codeの「スケジュールされたタスク」(当時の名前はルーティン)を、1つつくってみせる内容だった。マニュアルや、会社を丸ごと動かす方法を配ったものではない
  2. スケジュールされたタスクは、決めた時刻・外からの呼び出し・GitHubでの出来事をきっかけに、クラウドで動く。パソコンを閉じていても動き、開発者向けのClaude Codeのほか、Claudeのアプリでも決まった時刻に作業を動かせる
  3. 人が見ていない間に、本人の名前で仕事をする仕組みなので、任せる範囲を絞り、結果を人が確かめる場所を残すことが大事になる。弊社は、毎週の集計や定点観測のような、繰り返しで結果がはっきりした仕事から任せることを勧めている
目次
  1. 1話題の投稿の元は、Claude Codeのワークショップだった
  2. 2スケジュールされたタスクは、3つのきっかけでクラウドで動く
  3. 3開発者以外も、Claudeのアプリで決まった時刻に作業を動かせる
  4. 4「従業員なし」が言い過ぎな理由
  5. 5モデルの進化から見ると、任せられる仕事は長くなっていく
  6. 6マーケティングの仕事なら、何から任せられるか
  7. 7まとめ
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話題の投稿の元は、Claude Codeのワークショップだった

Anthropicは、2026年5月6日に、サンフランシスコで開発者向けのイベント「Code w/ Claude 2026」を開きました。その中に、「Build a proactive agent workflow with Claude Code」(Claude Codeで、自分から動くエージェントの流れをつくる)というワークショップがあります(Anthropic)。

担当はAnthropicのNoah Zweben氏で、Claude Codeを「リポジトリを読んで、変更の提案(プルリクエスト)を出してくれる、自分から動くチームメイト」にする方法を紹介しています。1つのルーティンを最初から最後までつくってみせ、きっかけ・渡す情報・方向づけの決め方を説明し、`/schedule` というコマンドで最初のルーティンをつくるところで終わる内容です。

SNSの投稿にある「AIとのチャットは一切なし」「スケジュール、呼び出し、GitHubの出来事で動く」「パソコンを閉じてもクラウドで動く」は、この仕組みの説明として合っています。一方で、「従業員なしで会社を立ち上げるためのマニュアル」は、言い過ぎです。ワークショップは、開発の仕事の一部をAIに任せる仕組みを紹介するもので、会社を丸ごと動かす手順書ではありません。

スケジュールされたタスクは、3つのきっかけでクラウドで動く

ワークショップの「ルーティン」は、2026年4月14日に研究段階の機能として発表されました(Anthropic)。その後、名前が「スケジュールされたタスク」に変わっています(Claude Code ドキュメント)。

仕組みは、AIへの指示文・作業するリポジトリ・使う外部サービスの連携(コネクタ)を一度まとめて保存しておき、きっかけが来たら自動で動かす、というものです。きっかけは3つあります。

  • 決めた時刻:毎時・毎晩・毎週など。1回だけ、決めた日時に動かすこともできる。1時間より短い間隔では動かせない
  • 外からの呼び出し:タスクごとに専用のURLがあり、監視ツールや公開の仕組みから呼び出すと動く
  • GitHubでの出来事:プルリクエストやリリースなど、リポジトリで起きた出来事に合わせて動く
図1:スケジュールされたタスクが動く流れ

動くのは、Anthropicが用意したクラウドの環境です。パソコンを閉じていても動きます。Pro・Max・Team・Enterpriseのプランで使え、使った分は、ふだんのClaude Codeと同じ利用の上限の中で数えられます。

開発者以外も、Claudeのアプリで決まった時刻に作業を動かせる

Claudeのデスクトップのアプリでも、2026年2月から、決まった時刻に作業を動かせるようになっています。報道では、朝のまとめ・毎週の表の更新・金曜日のチーム向けの資料といった例が挙げられています(The Decoder)。2026年7月には、こうした作業をクラウドで動かし、手元の機器がオフラインでも予定の作業が動くようになったと報じられています(AInauten)。

コードを書かない仕事でも、「決まった時刻に、決まった作業をAIに任せる」ことは、すでに手の届くところにあります。

「従業員なし」が言い過ぎな理由

決まった時刻に自動で動くのは便利です。ただ、Anthropicの説明を読むと、人がいらなくなる仕組みとして設計されていないことがわかります(Claude Code ドキュメント)。

  • 指示文がすべてを決める:人が見ていない間に動くので、指示文は、何をして、何ができたら終わりかを、それだけで読めるように書く必要がある
  • 本人の名前で動く:タスクがGitHubやSlackなどで行ったことは、タスクをつくった人の名前で記録される
  • 止まって人を待つことがある:危ない操作は自動で止める仕組みがあり、止まった作業は、人が答えるまで待つ
  • 「成功」は、作業が終わったことと同じではない:一覧に出る「成功」は、セッションが問題なく終わったという意味で、指示した仕事ができたかは、記録を読んで確かめる必要がある
  • 研究段階の機能:動き方や上限は、これから変わる可能性がある

人が見ていない間に、本人の名前で仕事をする仕組みです。任せる範囲を絞り、結果を人が確かめる場所を残すことが前提になっています。

モデルの進化から見ると、任せられる仕事は長くなっていく

いまは「毎週の集計」のような短い仕事が中心でも、任せられる仕事の長さは、モデルの進化とともに伸びていくと弊社は見ています。手がかりになるのが、AIの評価を行う米国の研究機関METRの測り方です。

METRは、AIが「人の専門家なら何時間かかる仕事を、どのくらいの確率でこなせるか」を測っています。2025年3月の発表では、AIが半分の確率でこなせるソフトウェアの仕事の長さは、2019年から2024年にかけて約7か月ごとに2倍になっていました。2026年1月の更新では、2023年以降は約4か月ごとに2倍と、伸びが速まっています(Wikipedia(METRの発表をまとめたもの))。

ただし、「半分の確率」と「8割の確率」では、こなせる仕事の長さが大きく違います。2026年2月に出たClaude Opus 4.6では、半分の確率でこなせる仕事の長さは約12時間でしたが、8割の確率では約1時間10分でした。

図2:Claude Opus 4.6が、確率ごとにこなせる仕事の長さ

人が見ていない間に動かす仕事では、半分の確率で成功するだけでは足りません。いま任せやすいのが、短くて、結果を確かめやすい仕事なのはこのためです。8割・9割の確率でこなせる仕事の長さが伸びていけば、任せられる仕事は次のように広がっていくと考えます。

  • いま:毎週の集計、定点観測、公開後の確かめのような、短く、手順が決まった仕事
  • これから:業界の動きを調べて、記事やレポートの下書きまでつくる、いくつもの手順をまたぐ仕事
  • その先:目標を渡すと、調べる・つくる・試す・結果を見て直す、を繰り返す仕事

人の役割は、なくなるより、変わっていくと考えています。何を任せるかを決め、指示を書き、結果を確かめて判断する。この部分の大切さは、任せる仕事が長くなるほど増していきます。なお、METRの測り方は主にソフトウェアの仕事が対象で、マーケティングの仕事にそのままあてはまるとは限りません。

マーケティングの仕事なら、何から任せられるか

Anthropicは、向いている仕事を「人が見ていなくてよく、繰り返しで、結果がはっきりしているもの」としています。マーケティングの仕事で考えると、弊社は次のような仕事から任せるのがよいと考えています。

  • 毎週の数字のまとめ:アクセス解析や広告の数字を決まった曜日に集計し、前の週と比べた要点をチームに送る
  • AIの答えの定点観測:お客様が聞く質問を、決まった間隔でAIに聞き、自社の名前が挙がった割合を記録する。AIの答えは日々入れ替わるので、繰り返し測るのに向いている(AIの引用が日々入れ替わる状況の記事)
  • 公開前・公開後の確かめ:記事を公開したあとに、リンク切れや表示の崩れがないかを確かめ、問題があれば知らせる
  • 競合や業界の動きのまとめ:決まった時刻に、業界のニュースや競合の発表をまとめて届ける

どれも、まず結果を人に届けるところまでを任せ、判断や公開は人がする形から始めるのが安全です。慣れてきたら、任せる範囲を少しずつ広げます。AIエージェントの導入の進め方は、海外と日本の30社の事例の記事でも整理しています。

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まとめ

SNSで話題の「従業員なしで会社を立ち上げるマニュアル」の元は、Anthropicの開発者向けイベントで行われた、Claude Codeの「スケジュールされたタスク」のワークショップでした。決めた時刻・外からの呼び出し・GitHubでの出来事をきっかけに、パソコンを閉じていてもクラウドで動く仕組みで、Claudeのアプリでも決まった時刻に作業を動かせます。人が見ていない間に本人の名前で動くので、任せる範囲を絞り、結果を人が確かめる場所を残すことが前提です。毎週の集計や定点観測のような、繰り返しで結果がはっきりした仕事から試してみることをおすすめします。モデルの進化とともに、任せられる仕事は長くなっていきます。いまのうちに小さく任せて、確かめ方に慣れておくことが、その準備になります。

参考:Anthropic「Build a proactive agent workflow with Claude Code」(Code w/ Claude 2026、2026年5月6日)、Anthropic「Introducing routines in Claude Code」(2026年4月14日)、Claude Code ドキュメント「Automate work with scheduled tasks」

佐藤 大貴 WRITTEN BY佐藤 大貴アースダイバー株式会社 代表取締役DeNAで男性向けライフスタイルメディアのグロースを牽引し、ローンチから約1年半で月間3,000万PV規模に。ポートではコンテンツマーケティング責任者として幅広い領域のメディアを管掌し、上場とM&Aを経験。2019年に創業し、AI時代のマーケティング戦略とその実行を手がける。プロフィールを見る →LinkedIn
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