
ご質問ありがとうございます。AIの答えをそのまま社内資料に使っていいのか、自社について間違ったことが広まらないか。AI検索が広がるにつれて、よくいただくご質問です。
結論から言うと、AIは、間違った情報を事実のように答えることがあります。しかも、ネット上に1本の記事があるだけで、その内容を24時間以内に答えに取り込んだ例も報告されています。企業としては、AIの答えをうのみにしないこと、自社についての正しい情報を公式に出しておくこと、自社がどう答えられているかを定期的に確かめることが大事です。
象徴的なのが、BBCの記者のトーマス・ジャーメイン氏の実験です。ジャーメイン氏は、自分のサイトに「テック記者のホットドッグ早食い大会」という架空のランキングを書き、自分を1位にしました。すると24時間以内に、GoogleのAIによる概要とChatGPTが、その内容を事実として答えるようになりました(Scientific American)。

ジャーメイン氏は、AIの答えは、出典を示すより、AIが自分で言っているように見えるので、利用者が信じやすいと指摘しています。
SEOの専門家のLily Ray氏も、同じような検証をしています。作り話のGoogleのアルゴリズム更新の記事を自分のサイトに出したところ、24時間以内に、AIによる概要とChatGPTがその内容を紹介しました。Ray氏は、AIが書いた記事の誤りを、AIが答えに取り込み、それをもとにまたAIが記事を書く、という循環を「AIのゴミの循環(AI Slop Loop)」と呼んでいます(Lily Ray)。
AIの答えは、多くの場合は正しいとされています。ニューヨーク・タイムズの依頼でOumiが4,326件の検索を調べたところ、GoogleのAIによる概要の答えは、91%が正しかったと報告されています。
ただ、気になる数字もあります。正しかった答えのうち、示した出典が答えを十分に裏づけていなかった割合は、Gemini 2のころの37%から、Gemini 3のころには56%に増えていました(The Decoder)。

なお、Googleは、この検証は使った質問のセットに問題があり、実際の検索を反映していないと反論しています。数字はそのまま受け取らず、傾向として見るのがよいと思います。
弊社の診断でも、AIの答えに誤りが見つかることは珍しくありません。2026年10月に診断した、ある専門クリニックの例です(院名は伏せています)。
このクリニックは、半年前に移転していました。クリニックの名前を入れた6つの質問を、ChatGPT・Gemini・GoogleのAIモードに聞いたところ、18回答のうち、正確だったのは10回答でした。5回答は、公式サイトでは確かめられない内容を含み、3回答には、はっきりした誤りがありました。

誤りは、移転前の住所を答える、保険診療なのに「自由診療」と説明する、診ていない部位まで「専門」と説明する、といったものでした。別の医師を院長として紹介した答えもありました。
出どころをたどると、病院を紹介する外部のサイトに、移転前の住所が残っていました。そのサイトは、ChatGPTの7回答で出典として表示されていました。公式サイトを更新していても、外部のサイトの古い情報が、AIの答えの材料として残っていたのです。
公式サイトで確かめられない内容は、AIが外部のサイトや口コミから組み立てたとみられます。採用ページのQ&Aで紹介した例でも、AIが事実と違う説明をしていた項目は、採用サイトに数字が書かれていない項目とほぼ重なっていました。公式に書いていないことほど、AIは別のところから補って答えます。
ここから言えるのは、次の3つです。
逆に、「AIは記事1本で答えが変わるなら、自社に都合のいい記事を出せばいい」と考えるのは危険です。Googleは、検索の生成AIの答えを操作しようとすることを、スパムポリシーの対象にしています(Google)。目先で答えが変わっても、見つかれば検索からの評価を失うおそれがあります。
正しい情報を、自社の公式の場所で、わかりやすく出し続けること。地味ですが、AIの答えに対していちばん確かな備えだと考えています。