
ご質問ありがとうございます。同じ質問をしても、ChatGPTでは名前が出ないのに、Geminiでは出る。逆のこともあります。診断のご報告で、よく驚かれるところです。
結論から言うと、ChatGPTとGeminiでは、答えのつくり方と、よりどころにしている情報が違うからです。GeminiはGoogleのプロダクトで、Google検索の仕組みを土台にできます。ChatGPTは、弊社の計測では検索しないで答える場面が多く、公開調査では挙げる候補の数も少なめです。その結果、ChatGPTではよく知られた大手が上の枠を取りやすく、Geminiでは検索で読まれるページを整えた会社が並びやすい、という違いが出ていると考えています。打ち手としては、AIごとに細かく攻め分けるより、しかるべき相手に着実に知られていくことと、検索で読まれるページを整えることが、結局いちばん確実だと考えています。
ここでいう出現率は、買い手が聞きそうな質問をAIに聞いたとき、自社の名前が答えに挙がった割合です。
弊社のAI検索診断では、まず、買い手が候補を比べるときに聞きそうな質問を30問つくります。たとえば「法人向けのeラーニングのおすすめは?」「初期費用がかからないeラーニングは?」のような質問で、どれも社名は入れません。この30問を、ChatGPT・Gemini・GoogleのAIモードの3つに同じように聞き、自社の名前が挙がった問数を数えます。
弊社が診断した、ある法人向けの研修サービスの結果です。

同じ30問なのに、名前が挙がったのは、ChatGPTで17問(出現率57%)、Geminiで23問(77%)、GoogleのAIモードで25問(83%)でした。答えの先頭付近に挙がった問数も、AIモードで11問、Geminiで6問、ChatGPTでは3問と、差がありました。
GeminiやGoogleのAIモードは、Googleのプロダクトです。少なくともGoogleのAIモードについては、質問を細かく分けてGoogle検索をたくさん行い、その結果をもとに答えをつくると、Googleは説明しています(Google)。そのため、Google検索で上位に出るページ(SEOで評価されているページ)が、答えの材料になりやすいと考えられます。
AIモードの記事でも書いたとおり、弊社の診断では、SEOに強く、検索からの流入が大きいサイトほど、Google系のAIで推薦されやすい傾向があります。
ChatGPTも検索をしますが、どこの検索を使っているかは明かしていません。OpenAIのヘルプには、他の検索事業者と提携することもある、とだけ書かれています(OpenAI)。
そして、ChatGPTは、検索しないで、学習した知識で答えることも少なくありません。弊社がある会社の90問で計測した日(2026年7月)には、ChatGPTの答えのうち51問は、検索して読んだページ(出典)を示していませんでした。1日の計測ですが、学習した知識で答えるときは、世の中でよく知られた会社ほど挙がりやすくなると考えられます。
ChatGPTは、1つの答えで挙げる候補の数が、ほかのAIより少ない傾向があります。Semrushが米国の1億2,600万件の質問を調べたところ、1つの答えに出てくるブランドの数は、GoogleのAIモードで平均5.2、Geminiで4.7、ChatGPTで3.3でした(PPC Land(Semrushの調査))。米国の、会社に限らないブランド全体の数字ですが、AIごとの差の向きは参考になります。

弊社の診断でも、ChatGPTは特定の会社を強く推すより、少ない候補を挙げて「条件しだい」と中立的にまとめることが多いと感じています。枠が少ないので、そこに入れるかどうかの差が大きくなります。
先の研修サービスの例では、ChatGPTは、AIモードやGeminiでは1回も出てこなかった海外のサービス4つを、延べ26回挙げていました。国内の中堅向けのこのサービスは、ChatGPTでは後ろに回ることが多くなっていました。
この違いは、社名の検索数との関係にも表れていました。弊社は以前、あるBtoB SaaSの分野の13社について、社名の月間検索数(指名検索)と、AIに名前が挙がった回数の関係を調べました。相関係数は、ChatGPTで0.96、Geminiで0.56でした。

ただ、図を見ると、相関係数だけではわからないことがあります。ChatGPTの0.96は、指名検索が桁違いに多い大手2社が、挙がった回数でも飛び抜けていることで、ほぼ説明できます。残りの11社だけで見ると、指名検索の量と挙がった回数には、ほとんど関係が見られませんでした。ChatGPTでは、よく知られた大手が上の枠を取り、それ以外の会社は横並びになっていた、と読むのが正確だと思います。
Geminiでは、指名検索が大手の約17分の1の会社が、大手と並ぶ回数で挙がっていました。この会社は、指名検索の量の割に、検索からの流入が大きい会社でした(月に約25万、Ahrefsの推計)。1社の例ですが、Google検索で読まれている会社は、知名度で劣っていても、Geminiでは大手と並べる余地があることをうかがわせます。
なお、この分析は13社・1つの分野・1時点での結果です。すべての分野で同じになるとは限りません。
では、AIごとに打ち手を変えればよいのか。正直に言うと、AIの答えをAIごとに狙って動かすのは、かなり難しいと考えています。答えのつくり方は公開されておらず、AIの更新で、答えは週ごとにも入れ替わるからです。
そのうえで、ここまでのデータから言えることは2つです。
ひとつは、ChatGPTで名前が挙がるかは、知名度と強く結びついていたことです。指名検索が桁違いに多い大手が、上の枠を取っていました。知名度は、小手先のテクニックで上がるものではありません。自社がお客さまにしたい人たちに向けて、発信やPR、イベント、第三者の記事で取り上げられることを積み重ね、着実に知られていくほかないと考えています。
もうひとつは、GeminiやAIモードでは、Google検索で読まれるページを整えることが、名前が挙がることにつながっている可能性が高いことです。比べる段階の質問に答えるページをつくり、強みを言葉と数字で書く。SEOの土台を整えることは、Google系のAIへの備えにもなります。
知られる活動と、読まれるページを整えること。どちらも目新しくはありませんが、AIごとに細かく攻め分けるより、この2つを続けるほうが確実だと考えています。指名検索の増やし方は、指名検索とはにまとめています。
なお、自社がどのAIで、どの質問で弱いかを知っておくことには意味があります。1つのAIだけを見て「出ている」「出ていない」と判断すると、状況を見誤るおそれがあるからです。測り方は、LLMO診断とはにくわしく書いています。