
ご質問ありがとうございます。先生の名前で患者さんに選ばれたいとき、個人のサイトをつくるかどうかは、よくいただくご相談です。
結論から言うと、まずは、所属する病院やクリニックの公式サイトを整えることをおすすめします。AIが医師の名前を挙げるときの根拠は、医療機関の公式サイトが中心だからです。個人のサイトをつくる場合も、所属先の情報と内容をそろえることが前提になります。
弊社が2026年10月に、ある不整脈の専門クリニックの先生について、AIにどう扱われているかを調べた例をご紹介します。患者さんが医師を探す場面に沿って15問を設計し、ChatGPT・Gemini・GoogleのAIモードに聞きました。
答えに表示された出典は310件で、どのAIでも、いちばん多く出典になっていたのは医療機関の公式サイトでした。先生のクリニックの公式サイトは59件(19%)で、Geminiでは出典の37%を占めていました。
米国でも、同じ傾向が出ています。医療専門誌のMedical Economicsに載った調査では、患者のような質問約1,200問へのChatGPTの答えで、医師を勧めるときの出典としていちばん多かったのは、病院や大学の医師紹介のページ(27.5%)でした。次が学会・専門医の名簿(22.1%)で、口コミサイトは3.8%でした(Medical Economics)。

米国のChatGPTだけの調査なので、そのまま日本に当てはまるとは限りません。それでも、日本の診断と米国の調査のどちらでも、医療機関の公式サイトが主な根拠になっていました。
ただ、公式サイトが出典になっても、先生の名前が挙がるとは限りません。診断では、ChatGPTはクリニックの名前を12回答で挙げたのに、先生の名前を添えたのは3回答だけでした。

先生の名前が挙がった17回答のうち15回答では、同じ回答の出典に、先生の名前を含むページがありました。多くは、クリニックの公式サイトの手術実績や医師紹介のページで、院長の名前と治療の成績が一緒に書かれていました。
ChatGPTが「名医」の質問で先に挙げていたのも、ほかの病院の公式サイトにある、医師個人のページに専門や症例数が書かれた医師でした。医師の名前と、担う治療と、実績の数字が、公式サイトの同じページにあるとき、AIはその医師の名前を挙げていたことになります。
所属先の公式サイトで、まず整えておきたいのは次の3つです。
個人のサイトが要るかどうかは、先生の立場や事情によって変わります。私は、次のように考えています。
| 先生の立場 | 考え方 |
|---|---|
| 勤務医 | 個人のサイトをつくる先生は多くありません。所属する病院の医師紹介に、専門・資格・症例数を書いてもらえるよう、病院の広報に相談するのが現実的です |
| 開業医 | クリニックの公式サイトが、先生個人のサイトの役割も担います。院長紹介と疾患のページを整えることが、そのまま先生の名前の対策になります |
| 複数の医療機関で診療している、講演や執筆が多い | 所属先のサイトだけでは伝えきれないときに、個人のサイトが選択肢になります |
個人のサイトをつくる場合は、所属先のページと、経歴・資格・症例数の数字と時点をそろえてください。内容が食い違うと、AIがどちらを根拠にするかわからなくなります。
どれも、医療広告ガイドラインの範囲で行うことが前提です。医療機関のウェブサイトは広告規制の対象で、治療の内容や効果についての体験談や、虚偽・誇大な表現は認められません(国民生活センター)。「名医」と自分で書くことは避け、資格や実績などの事実を正確に書くことが基本です。
くわしい進め方は、医師のAIO対策の記事にまとめています。