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病院・クリニックのAIO対策(LLMO対策)とは?
患者が受診先を決めるまでの流れから考える

佐藤 大貴佐藤 大貴 公開 2026.10.27更新 2026.10.27
病院・クリニックのAIO対策(LLMO対策)とは?患者が受診先を決めるまでの流れから考える
この記事のポイント
  • AIに聞くと、病院の候補はサイトを訪れる前に、AIの答えの中で絞られる。名前が挙がらなければ、比べる候補にも入らない
  • 医療機関のAIO対策で目指すのは、受診を決める質問で挙がる・正しく説明される・選ぶ理由が伝わる、の3つ。診断では3つを分けて測る
  • AIの出典の中心は、自院か他院かを問わず医療機関の公式サイト(事例では57〜77%)。外部の検索サイトには古い情報が残っていた。自院のサイトを、AIが根拠にできる文章に整えることが対策の中心

こんにちは、アースダイバー代表の佐藤です。病院やクリニックの方から、「患者がAIで病院を調べているらしいが、何をすればいいのかわからない」というご相談をいただくことが増えました。AIO対策(LLMO対策)という言葉は広がってきましたが、医療機関にとって何を意味するのかは、まだ整理されていません。

この記事では、患者が受診先を決めるまでの流れが、AIに聞くことでどう変わったかを整理します。そのうえで、医療機関のAIO対策で目指すことを3つに分け、弊社が、ある股関節の専門クリニックで行った診断の結果を、その3つに沿って紹介します。AIが何を出典にして答えているかを分析し、最後に、出典ごとに何をどう直せばいいかをまとめます。

先に、この記事の結論を3行で書きます。

  • AIに聞くと、病院の候補はサイトを訪れる前に絞られる:AIの答えに名前が挙がらなければ、比べる候補にも入らない
  • AIO対策で目指すのは、受診を決める質問で挙がる・正しく説明される・選ぶ理由が伝わる、の3つ:診断では、この3つを分けて測る
  • AIの出典の中心は、自院か他院かを問わず医療機関の公式サイト:事例では出典の57〜77%が公式サイトで、外部の検索サイトには移転前の住所などの古い情報が残っていた。自院のサイトを、AIが根拠にできる文章に整えることが対策の中心になる
目次
  1. 1患者は、どうやって病院を選んできたか
  2. 2AIに聞くことで、受診までの流れはどう変わったか
  3. 3医療機関のAIO対策で目指す、3つのこと
  4. 4弊社の診断の方法
  5. 5診断でわかったこと
  6. 6AIは、何を出典にして答えているか
  7. 7何を、どう直せばいいか
  8. 8まず、自院がどう扱われているかを測る
  9. 9病院・クリニックのAIO対策について、よくある質問
患者へのAIの答えを、病院・クリニックのAI検索診断で確かめる →

患者は、どうやって病院を選んできたか

まず、AIが広がる前から、患者が何を手がかりに病院を選んできたかを見ておきます。

厚生労働省の受療行動調査(2020年)では、外来の患者がその病院を選んだ理由は、「医師による紹介」が39.2%、「交通の便がよい」が27.5%、「専門性が高い医療を提供している」が26.9%、「家族・友人・知人からのすすめ」が17.4%でした(厚生労働省)。

ふだん医療機関にかかるときの情報の入手先は、2023年の同じ調査で、情報を入手している外来の患者のうち、「家族・友人・知人の口コミ」が68.4%で最も多く、「医療機関が発信するインターネットの情報」が28.8%、「医療機関・行政機関以外が発信するインターネットの情報(SNS・掲示板・ブログなど)」が18.1%でした(厚生労働省)。

図1:患者は、医療機関の情報を口コミとネットから得ている

患者は、医師の紹介や通いやすさに加えて、身近な人の話と、病院のサイトやネットの情報を手がかりに、受診先を決めてきました。

AIに聞くことで、受診までの流れはどう変わったか

その流れに、AIに聞くという接点が加わっています。OpenAIは2026年1月、ChatGPTで健康やウェルネスについて質問する人が、毎週2億3,000万人を超えていると発表しました(TechCrunch)。米国の調査では、AIのチャットで健康の情報や助言を得る成人は、月に1回以上で29%となり、2024年の17%から増えています(KFF)。

これまでの流れと、AIに聞く場合の流れを並べると、次のようになります。

図2:AIに聞くと、病院の候補はサイトを訪れる前に絞られる

これまでは、患者が自分で検索し、いくつもの病院のサイトを読み、口コミや紹介と合わせて比べていました。候補を絞るのは、患者自身でした。AIに聞くと、AIが候補を数件挙げ、それぞれの理由まで説明します。患者は、その候補だけを確かめて受診先を決めることができます。

ファネルの形で見ると、変わったのは、候補が絞られる場所です。候補の絞り込みが、病院のサイトを訪れる前に、AIの答えの中で起きるようになります。AIの答えに名前が挙がらなければ、比べる候補にも入りません。名前が挙がっても、事実と違う説明が添えられていれば、受診の前に誤解されるおそれがあります。

医療機関のAIO対策で目指す、3つのこと

こうした変化をふまえて、弊社は、医療機関のAIO対策で目指すことを、次の3つに分けて考えています。

  1. 受診を決める質問で挙がる:院名を出さないで聞く質問(推薦されるべき質問)で、候補に入ること。症状から相談先を探す質問に加えて、病院を比べる質問や、手術を受けるかどうかを決める質問でも挙がることを目指します
  2. 正しく説明される:院名を入れて確かめる質問(自院についての質問)で、所在地・医師・治療の方法・費用などが、事実どおりに説明されること
  3. 選ぶ理由が伝わる:ほかの医療機関と並べて紹介されたときに、自院を選ぶ理由が書かれること。そのためには、AIが根拠にできる実績と説明が要ります

AIの答えに名前が出た回数だけを数えても、この3つのどこに課題があるかはわかりません。弊社の診断では、3つを分けて測ります。

弊社の診断の方法

弊社が、ある股関節の専門クリニックで行った診断を例に、方法を紹介します(2026年10月)。

質問は、受診までの段階に沿って、30問を設計しました。症状・病名から探す7問、手術を決めて探す12問、病院を比べる5問が推薦されるべき質問で、院名で確かめる6問が自院についての質問です。それぞれの段階で、3つの目標のどれを測るかを決めています。

図3:受診までの段階ごとに質問を分け、3つの目標を測る

この30問を、ChatGPT・Gemini・GoogleのAIモードの実際の画面に、ログインしない状態で、1問ごとに新しい画面を開いて入れ、90回答の全文と出典を記録しました。そのうえで、3つの目標に沿って、次のことを見ました。

  • 目標1:どの段階の質問で挙がるか。AIごとにどう違うか
  • 目標2:院名で聞いたときの説明が、公式の情報と合っているか
  • 目標3:AIが何を根拠に挙げ、どう説明しているか。そのために、答えに表示された出典776件を分類しました

診断でわかったこと

目標1:受診の判断に近い質問ほど、挙がりにくくなる

院名を出さない72回答のうち、このクリニックが挙がったのは40回答で、挙がった63の医療機関の中で最も多い結果でした。ただし、段階ごとに見ると、受診の判断に近づくほど、挙がる割合は下がっていました。

図4:受診の判断に近い質問ほど、挙がりにくくなる

症状・病名から探す質問では21回答中13回答、手術を決めて探す質問では36回答中21回答で挙がった一方、病院を比べる質問では15回答中6回答でした。「手術をするべきか迷っている」「大学病院と専門クリニックのどちらで受けるべきか」「合併症が少ない病院の選び方は」という、手術を受けるかどうかを判断する3問では、9回答中1回答でしか挙がりませんでした。この3問は、症状・病名から探す質問と病院を比べる質問に含まれています。ファネルの下に進むほど、候補から外れていたことになります。

AIごとの差も大きく、院名を出さない24問のうち、このクリニックが挙がったのは、GoogleのAIモードで18問、Geminiで14問、ChatGPTで8問でした。

図5:同じクリニックでも、AIによって挙がり方は大きく違う

GoogleのAIモードとGeminiは、専門のクリニックを多く挙げ、ChatGPTは、大学病院や総合病院を中心に挙げていました。どのAIで測るかによって、「うちはAIに出ている」とも「出ていない」とも言えてしまいます。

目標2:中身は正しく伝わっているが、移転前の住所などの誤りが混ざる

院名で確かめる6問の18回答を、公式サイトの情報と照らし合わせると、正確が10回答、公式サイトで確かめられない記述を含む要確認が5回答、誤りを含むものが3回答でした。

図6:院名で聞くと、中身は伝わっているが、移転前の住所などの誤りが混ざる

専門の手術・手術の方法・入院日数・費用は、多くの回答で正しく説明されていました。一方で、移転前の所在地を現在の所在地として説明したり、保険診療を自由診療と説明したりする誤りがありました。院名を出さない質問でも、院長を別の医師と取り違えた答えが1つありました。こうした誤りの背景は、次の出典の分析で見ます。

目標3:判断の基準に、自院の情報が使われていない

では、なぜ受診の判断に近い質問で挙がりにくいのか。手術を判断する質問では、AIは「手術件数が多い」「合併症が少ない」「専門医が執刀する」などの判断の基準を示していました。その基準と、このクリニックのサイトで公開されている情報を照らし合わせると、次のようになりました。

図7:AIが示す判断の基準に、自院の情報が足りていなかった

手術件数と合併症の数字は、表として公開されていたのに、判断の質問の答えでは使われていませんでした。数字が表で載っているだけで、その数字が何を意味するかの説明がなかったためだと、弊社は考えています。院長の専門医資格や所属学会は記載が見当たらず、手術と入院を行う場所は説明が足りず、大学病院との違いは、サイトに見当たりませんでした。

AIは、何を出典にして答えているか

3つの目標のどれも、AIが何を出典にして答えているかで結果が変わります。そこで、3つのAIの答えに表示された出典776件を、サイトの種類ごとに分類しました。

自院か他院かを問わず、出典の中心は医療機関の公式サイト

まず、どの段階でも、AIの出典の中心は医療機関の公式サイトでした。自院と他院の公式サイトを合わせると、症状・病名から探す質問で77%、手術を決めて探す質問で71%、病院を比べる質問で62%、院名で確かめる質問でも57%を占めていました。病院検索・まとめサイト、Googleマップ、その他(学会・報道・動画など)は、それより少ない割合でした。

図8:自院か他院かを問わず、AIの出典の中心は医療機関の公式サイトだった

違うのは、どの医療機関の公式サイトが出典になるかです。院名を出さない質問では、出典の6〜7割がほかの医療機関の公式サイトで、このクリニックのサイトは4〜5%でした。出典になっていた他院のページは、股関節センターや専門外来のページ、手術実績のページでした。院名で確かめる質問になると、このクリニックのサイトが出典の49%を占めます。

AIは、医療機関の公式サイトを主な根拠にして、患者に候補を挙げています。患者が探す治療について、根拠になるページを公式サイトに持っているかどうかが、挙がるかどうかを左右していると、弊社は考えています。

公式サイトのほかに使う出典は、AIによって違う

公式サイトのほかに何を出典にするかは、AIによって違いがありました。

  • ChatGPT:出典403件のうち64%が、ほかの医療機関の公式サイトでした。股関節外来や人工関節センターのページがある大きな病院を中心に挙げていて、このクリニックが挙がったのは24問中8問でした
  • GoogleのAIモード:このクリニックを挙げるときに、Googleマップの情報(評価や口コミの件数)とともに紹介することが多くありました
  • Gemini:このクリニックを挙げるときに、医療機関の検索サイトを出典にすることが多くありました

どのAIで挙がりにくいかによって、整える出典も変わります。ChatGPTで挙がるためには公式サイトのページを、AIモードではGoogleマップの情報を、Geminiでは医療機関の検索サイトの情報を、それぞれ確かめることになります。

外部の検索サイトに、古い情報が残っていた

院名で確かめる質問では、出典の33%が病院検索・まとめサイトでした。院名を聞いたときの説明に、外部のサイトの情報が使われやすいということです。

ある医師の紹介サイトには、移転前の所在地が残ったままになっていて、そのページがChatGPTの7回答で出典として表示されていました。別の紹介サイトにも、移転前の所在地が残っていました。このクリニックは移転を経ていたため、時期の違う所在地が外部のサイトに残り、目標2で見た移転前の所在地の誤りの一因になっているとみられます。

公式サイトの情報が正しくても、AIが外部のサイトを出典に使えば、古い情報がそのまま患者に伝わります。院名で確かめる質問への対策は、自院のサイトの外にもあります。

何を、どう直せばいいか

診断の結果から、このクリニックには、新しい施策を足すより先に、すでにある実績と情報を整えることをおすすめしました。出典の分析に沿って、自院の公式サイトと外部のサイトに分けると、次のようになります。

図9:自院のページは比べる質問に、外部のサイトは院名の質問に効くと見込む

自院の公式サイト:AIが根拠にできるページを整える

AIの出典の中心は公式サイトなので、対策の中心も自院の公式サイトになります。読まれていた他院のページと同じように、治療と実績と医師を、1ページでまとめて文字で書きます。

  • 手術実績:表は残したまま、冒頭に「年間約〇件」「術後の脱臼は〇%」のような要点と、数字の読み方を、院長の言葉で書きます(目標3)
  • 手術と入院の流れ:外来・検査・手術・入院を行う場所、提携する病院、退院後のリハビリを、1ページにまとめます(目標1・3)
  • 院長が答えるよくある質問:手術を受ける時期、大学病院との違い、合併症、待ち期間など、患者が受診を決める前に迷うことに答えます(目標1)
  • 院長の紹介:専門医の資格・所属学会・執刀数・研修先を、画像や動画に加えて、テキストで書きます(目標2・3)
  • クリニック概要と費用:現在の所在地と移転の経緯、保険診療と自由診療の別を、文字で書きます(目標2)

外部のサイト:古い情報を直し、公式とそろえる

  • 医療機関の検索サイト・医師の紹介サイト:所在地や院長の情報を確かめ、古いものは修正を依頼します。AIが出典に使っているサイトから優先します
  • Googleマップ:所在地・診療日・写真を最新にします。AIモードは、Googleマップの情報とともにクリニックを紹介していました

外部のサイトの修正は、費用がかからず、すぐに始められます。弊社は、まず外部のサイトの古い情報を直し、次に公式サイトのページを整える順番をおすすめしています。

直したあとは、同じ30問で測り直して、答えが変わったかを確かめます。

どれも、医療広告ガイドラインの範囲で行うことが前提です。2018年6月から、医療機関のウェブサイトも広告規制の対象となり、治療の内容や効果についての体験談や、誤認させるおそれのあるビフォーアフター写真、虚偽・誇大な表現は認められません(国民生活センター)。AIO対策でも、事実の情報を正確に、テキストで載せることが基本になります。

まず、自院がどう扱われているかを測る

医療機関のAIO対策は、自院が受診までのどの段階で挙がり、どう説明され、何を根拠にされているかを知るところから始まります。弊社の「病院・クリニックのAI検索診断」では、患者が実際に聞く30問を、診療科・地域・強みに合わせて設計し、3つのAIの実際の画面で測ります。そのうえで、3つの目標に沿って結果を分析し、どのページをどう直すかの指針と順番までお出しします。

医師個人の名前で選ばれているかを知りたい場合は、医師のAIO対策の記事と「医師のAI検索診断」もあわせてご覧ください。AI検索診断の全体と、測り方の考え方は、AI検索対策サービスの一覧にまとめています。

病院・クリニックのAIO対策について、よくある質問

AIO対策とLLMO対策は、違うものですか?

ほぼ同じ意味で使われています。AIO(AI最適化)はGoogleのAIによる概要などに向けた対策を、LLMO(大規模言語モデル最適化)はChatGPTやGeminiなどのAIの答えに向けた対策を指して使われることが多い言葉です。どちらも、AIの答えの中で自院が候補に挙がり、正しく説明されるようにすることを目指します。

Googleマップの口コミを増やせば、AIに挙がりやすくなりますか?

口コミを増やすより先に、公式サイトを整えることをおすすめします。弊社の診断では、AIの出典の中心は、自院か他院かを問わず医療機関の公式サイトで、Googleマップは出典の2〜15%でした。まずは、公式サイトのページを整え、外部のサイトの情報を公式とそろえることが先です。

小さなクリニックでも、AIO対策をする意味はありますか?

あります。弊社の診断でも、専門のクリニックが、GoogleのAIモードやGeminiでは多く挙がっていました。専門分野がはっきりしている医療機関ほど、その強みを、患者が聞く言葉と数字で書くことで、AIの答えに挙がる余地があります。

参考:厚生労働省「令和5(2023)年受療行動調査(概数)の概況」/厚生労働省「令和2(2020)年受療行動調査(確定数)の概況」/TechCrunch(2026年1月7日)/KFF(2026年6月)/国民生活センター(2018年5月24日)

佐藤 大貴 WRITTEN BY佐藤 大貴アースダイバー株式会社 代表取締役DeNAで男性向けライフスタイルメディアの立ち上げを牽引し、ローンチから約1年半で月間3,000万PV規模に。ポートではコンテンツマーケティング責任者として幅広い領域のメディアを管掌し、上場とM&Aを経験。2019年に創業し、AI時代のマーケティング戦略とその実行を手がける。プロフィールを見る →LinkedIn
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