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2026.11.02Q&A ─ 代表が答える

Q.オウンドメディアの、直接は見えない効果を、上司にどう報告すればいいですか。

佐藤 大貴回答:佐藤 大貴(代表取締役)
オウンドメディアの間接的な効果を、上司にどう報告する?BigQueryとClaudeで後日のCVまで数える
A.代表 佐藤 大貴の回答

ご質問ありがとうございます。「オウンドメディアの記事が成果につながっているのは感じるけれど、数字で見せられない。上司にどう報告すればいいか」というご相談は、本当によくいただきます。

結論から言うと、見えていない効果の多くは、計測の範囲を広げると見えるようになります。記事を読んだその場のコンバージョン(CV)に加えて、記事を読んだ人が、あとで別の日に戻ってきてCVした分まで数えるんです。弊社のご支援先では、そこまで数えると、記事を読んだ人のCVは、その場のCVの約3倍ありました。

そのためのデータは、GA4のデータをBigQueryに書き出すと取れます。以前はSQLを書ける人でないと集計できなかったのですが、いまはClaudeにSQLを書いてもらえばいいですし、ふだんの言葉で頼んで、BigQueryから数字を出してもらうこともできます。

その場のCVだけだと、記事の価値を小さく見てしまう

記事を読んだ人がCVするまでの道すじは、大きく3つあります。

  • ① 記事から直接CV:記事を読んで、その場で資料をダウンロードする
  • ② プロダクトサイトを見てCV:記事から製品のページに移って、そこでCVする
  • ③ 後日、別の訪問でCV:その日は帰って、数日後や数週間後に、指名検索や広告から戻ってきてCVする

BtoBの検討は時間がかかるので、③がいちばん多いことも珍しくありません。ところが、多くの会社のレポートで数えているのは①だけ、よくて①と②までです。

図1:記事を読んだ人のCVには3つの道すじがあり、③はCRMの数字に出にくい

あるBtoB企業のオウンドメディアでは、記事を読んでCVした人のうち、その場で直接CVしたのは約4分の1でした。その場のCVだけを報告すると、残りの約4分の3が報告に入らないんです。

図2:記事を読んでCVした人のうち、その場でCVしたのは約4分の1

GA4のデータをBigQueryに出すと、後日の訪問まで追える

③を数えるには、同じ人が、記事を読んだあとに別の日に戻ってきたかを追う必要があります。GA4の管理画面のレポートでは、これがなかなか難しいんです。

そこで使うのが、GA4のデータをBigQueryに書き出す機能です。GA4の無料のプロパティでも使えて、毎日書き出す方法なら1日100万イベントまで書き出せます(Google アナリティクス ヘルプ)。BigQueryには、1回1回の閲覧やCVが、ブラウザごとのIDつきで残ります。なので、「記事に着地した人が、90日以内に別の訪問でCVしたか」といった集計ができるようになります。

ただ、追えるのは同じブラウザで戻ってきた人だけです。スマホで記事を読んで、会社のパソコンでCVした人は、別の人として数えられます。なので、ここで出る数字は「少なくともこれだけはある」という下限として扱っています。

上司への報告は、3つに分けて見せる

弊社では、ご支援先への月次レポートで、記事を読んだ人のCVを①②③に分けて、月ごとに並べています。

図3:記事を読んだ人のCVを、①直接・②プロダクトサイト経由・③後日の別訪問に分けた月次の推移(数字は伏せています)

上司に報告するときに気をつけているのは、次のことです。

  • ①②③を分けて見せる。 合計だけだと「本当に記事のおかげ?」と聞かれます。どの道すじで、何人がCVしたかを分けておくと、説明しやすくなります。
  • まだ確定していない期間を書く。 ③は記事を読んでから90日まで数えるので、直近の3か月は、これからまだ増えます。前年と比べるときは、期間が確定した月どうしで比べます。
  • リードや商談の数は、CRMの数字を正にする。 GAで追える範囲と、CRMで数えられる範囲は違います。リード・商談・受注はCRMの数字、どの記事から来たか、どの道すじかはGAの数字、と分けて報告しています。
  • 「記事の影響」として報告し、言い切らない。 ③の人がCVしたのは、記事だけのおかげとは限りません。「記事を読んだ人の中から、これだけCVが出ている」という言い方にしています。

SQLが書けなくても、Claudeに頼めばいい

BigQueryで集計するには、これまではSQLを書ける人が必要でした。マーケティングの担当者が自分でやるには、ここがいちばん高い壁だったと思います。

いまは、Claudeに「こういう数字を出したい」と頼めば、SQLを書いてくれます。弊社の月次レポートも、BigQueryの集計のSQLは、Claudeに書いてもらっています。たとえば、こんな頼み方です。

実際の指示(音声入力のまま)GA4のBigQueryのデータで、検索から記事のページに着地した人を、月ごとに数えてください。そのうち、①その訪問の中でCVした人、②同じ訪問でプロダクトサイトのページを見てからCVした人、③着地から90日以内の別の訪問でCVした人を、それぞれ人数で出してください。同じ月に何度CVしても1人と数えてください。社内からのアクセスは除いてください。

出てきた数字は、GA4の画面の数字と大きくずれていないかを、必ず確かめます。数え方の条件(期間・除外・90日)を、レポートにもそのまま書いておきます。

さらに、ClaudeをBigQueryにつなげば、ふだんの言葉で頼んで、BigQueryから直接数字を出してもらうこともできます。Anthropicのマーケティングチームでも、BigQueryにClaudeをつないで、営業担当ごとの毎週のお知らせを自動で作っている例が公開されています(Anthropic)。BigQuery自体にも、ふだんの言葉からSQLやグラフを作る機能があります(Google Cloud)。

CV以外の間接的な効果も、あわせて見せる

もちろん、記事の間接的な効果は、CVだけではありません。上司に報告するときは、次のようなものもあわせて見せると、記事の役割が伝わりやすくなります。

間接的な効果見るところ
社名で検索する人が増えるSearch Consoleで、社名や製品名を含む検索の表示回数・クリックの推移(指名検索の記事)
商談が進みやすくなるCRMで、記事を読んだリードと読んでいないリードの、商談になった割合や受注までの期間
営業が説明に使う営業担当が、お客様に記事のURLを送っている回数や、よく使われる記事
AI検索で紹介されるChatGPTなどの答えの中で、自社が候補として挙がる割合(AI検索診断の記事)
ほかのサイトで紹介される被リンクや、SNS・ほかのメディアでの言及(サイテーションの記事)
採用に効く応募者が面接の前に読んでいた記事や、採用ページへの流入

どれも、数え方を一度決めておけば、毎月同じ形で報告できます。全部を一度に出す必要はなく、上司が気にしていることに近いものから、1つか2つ足していくのがいいと思います。

弊社の場合

弊社では、ご支援先の月次レポートで、この①②③の集計を毎月出しています。月次レポートの作り方は、マーケティングの月次レポートをAIで作る記事にまとめました。

「記事の成果を、その場のCVだけで評価されてしまう」という悩みは、計測の範囲を広げることで、かなり解けると思います。まずはGA4とBigQueryをつなぐところから始めてみてください。

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