
ご質問ありがとうございます。「AIを入れたいけれど、社内に詳しい人がいない」というお話は、本当によくうかがいます。
結論から言うと、AIに詳しい人を探すより、その事業についていちばん詳しい人が、AIと対話しながら進めればいいと考えています。お客様のこと、現場のこと、何がうまくいって何がうまくいかなかったか。そうした一次情報を持っている人が、AIに話しかけて形にしていくのが、基本のやり方です。
帝国データバンクが2026年3月に1万312社から回答を得た調査では、生成AIの活用の課題として、「専門人材・ノウハウ不足」が41.3%、「活用すべき業務の範囲」が40.0%でした(帝国データバンク)。東京商工リサーチの2025年の調査でも、生成AIの活用を進めていない企業の理由の1位は、「推進するための専門人材がいない」(55.1%)でした(東京商工リサーチ)。

日本の会社は、AIの使い方の方針を決めていない割合も高めです。総務省の『令和8年版 情報通信白書』で、生成AIの活用方針を「明確に定めていない」と答えた会社は、日本が20.2%でした。米国は7.8%、ドイツは9.7%、中国は2.3%です。日本の中でも、大企業の15.0%に対し、中小企業は31.5%でした(総務省)。
ただ、「何に使うか」を決められるのは、AIに詳しい人より、その仕事に詳しい人です。どの作業に時間がかかっているか、お客様に何を聞かれるか、どんな資料が社内にあるか。これを知っているのは、現場や事業の中心にいる人です。
同じ帝国データバンクの調査で、すでに生成AIを活用している企業に効果を聞くと、「大いに効果が出ている」と「やや効果が出ている」を合わせて86.7%でした。「大いに効果が出ている」と答えた割合は、小規模企業(29.7%)のほうが大企業(20.8%)より高い結果でした(帝国データバンク)。

弊社の見方では、会社が小さいほど、事業に詳しい人とAIを使う人が同じ人になりやすいことが、理由のひとつだと考えています。
いまのAIは、ふだんの言葉で話しかければ動きます。プログラミングの知識も、特別な指示の書き方も、最初は要りません。

弊社のコーポレートサイトも、私がAIと対話しながら作り直しました。デザインの18画面と全ページの文言まで、AIとの対話は約5時間でした(コーポレートサイトをAIと作り直した話)。サイトを移してからは、管理画面を使わず、AIに話しかけて更新しています。移してから2日で、サイトに加えた変更は110回でした(話しかけるだけでサイトを更新している話)。
AIを作っている会社も、同じことをすすめています。Claudeを作るAnthropicの資料では、長い資料はプロンプトの先に渡し、関係するところを引用させてから作業させるとよい、と書かれています。してほしいことを、理由も添えて伝える。見本を見せる。どれも、事業に詳しい人ほどうまくできることです(Anthropic)。
始めるときは、次の順で進めるのがおすすめです。
AIに入れてよい情報・入れない情報の決まりだけは、最初に決めておくと安心です。お客様の名前や個人情報、公開前の数字などをどう扱うかを、一枚の紙にまとめておくだけでもかまいません。
AIに詳しい人を採用しようとすると、時間も費用もかかります。それより先に、社内でいちばん事業をわかっている人が、毎週の仕事のひとつをAIと進めてみる。うまくいったやり方を手順にして、ほかの人にも広げる。私は、この順番のほうが、小さな会社には合っていると考えています。
AIの使い方そのものは、使いながら身につきます。社外に相談相手がほしい場合は、AI顧問とはの記事で、相談の受け方の種類と選び方を整理しています。