- Googleは、検索結果でのクリックとその後の行動を集計して順位づけに使っている。判決はNavBoostが13か月分のクリックを使うと認定した
- ただ、クリックを人工的に増やしても、長く続く効果は確かめられていない。アクセス解析の直帰率や滞在時間が使われている証拠もない
- 滞在時間はテーマで大きく違う。数値を細かく追うより、選ばれて、すぐ戻られないページを作る心構えとして押さえる
こんにちは、アースダイバー代表の佐藤です。「クリック率を上げると順位が上がる」「滞在時間が長いページは評価される」「直帰率が高いと順位が下がる」。SEOの世界では、こうした話が長く語られてきました。一方でGoogleは、何年もこれを否定してきました。
ところが2023年からの米国の裁判と、2024年に流出したGoogleの内部の文書で、事情が見えてきました。結論から書きます。
- Googleは、検索結果でのクリックと、その後すぐ戻ったかどうかを集計して、順位づけに使っています。裁判の判決は、NavBoostという仕組みが13か月分のクリックのデータを使っていると認定しました
- ただ、クリックを人工的に増やしても、順位はほとんど動きませんでした。自社のアクセス解析(GA)で見る直帰率や滞在時間を、Googleが使っているという証拠も見つかっていません
- 滞在時間は、記事のテーマや長さで大きく変わります。ジャンルをまたいで比べる意味は小さく、1本の記事やLPを良くするための参考として使うのがおすすめです
- 数値を細かく追うより、検索結果で選ばれて、読んだ人がすぐ戻らないページを作る。記事を作るときの心構えとして押さえておくのが、いちばん実用的です
この記事では、Googleの発言の歴史、裁判と内部の文書でわかったこと、実験の結果、AI検索の時代の変化を順に整理します。
目次
Googleは、クリックの利用を長く否定してきた
まず、全体の流れを年表にしました。

Googleの担当者は、2008年ごろから、クリックや滞在時間を順位に使うことを否定してきました。
- 2008年:当時のMatt Cutts氏は、直帰率は操作されやすく、ノイズが多いと述べています(Search Engine Roundtable)
- 2015年:Gary Illyes氏は、クリックは主に評価と実験に使うもので、順位に直接使うのはノイズが多くて意味がない、という趣旨を話しました(Page One Power)
- 2019年:Illyes氏は、Redditの質問会で、滞在時間やクリック率の話を「でっち上げ」と呼びました(Search Engine Roundtable)
- 2020〜2021年:John Mueller氏は、Googleがアナリティクスの直帰率を見ているという考えは誤解だと答えています(Search Engine Roundtable(2020年)、同(2021年))
ただ、2023年11月には、検索の広報を担当するDanny Sullivan氏が「もちろん、ユーザーの操作のシグナルは使っている」と認めています(Search Engine Roundtable)。
裁判と流出した文書で、わかったこと
裁判の証言:「クリックは順位の重要なシグナル」
米司法省がGoogleを独占禁止法で訴えた裁判で、2023年9月、Googleで順位づけに長く携わったEric Lehman氏が証言しました。証言の記録には、クリックは順位の重要なシグナルだという趣旨の発言が残っています(審理の記録(2023年9月21日))。
証拠として出された2016年の社内の資料には、「文書をほとんど見ていない。人を見ている」「文書によい反応があれば、よい文書だと判断する」という趣旨の言葉もありました(米司法省の証拠資料)。
2024年8月の判決は、NavBoostを「ユーザーのクリックのデータを記憶して、検索語と文書を結びつける」シグナルだと認定しています。学習に使うのは、2017年より前は18か月分、それ以降は13か月分のデータです(判決(2024年8月5日))。
2025年9月には、是正措置として、Googleに検索のインデックスと、クリックなどの操作のデータを、一定の条件を満たす競合に提供するよう命じる判断が出ました(米議会調査局(2025年9月10日))。Googleは控訴しています。


流出した文書:クリックの質を分ける項目
2024年5月には、Google検索の内部の文書が流出しました。公表したRand Fishkin氏と、解説したMike King氏によると、クリックに関する項目がいくつも含まれていました(SparkToro、iPullRank)。

「よいクリック」「よくないクリック」「いちばん長く見られたクリック」を分けていることから、クリックの数に加えて、選ばれたあとに満足したかまで見ていると読めます。ただ、どの項目をどれだけ重く扱っているかは、文書に書かれていません。Googleは、文脈のない、古い、または不完全な情報から推測しないよう求めています(The Register(2024年5月29日))。
Googleの公式ページにも書かれている
実は、Googleの公式ページ「How Search Works」にも、集計して匿名にした操作のデータを、検索結果が検索語に合っているかの判断に使う、と書かれています(Google)。
2025年8月のGoogleの公式ブログでは、検索の責任者のLiz Reid氏が、すぐ検索結果に戻らないクリックを「質の高いクリック」と呼んでいます(Google公式ブログ(2025年8月6日))。
Googleのこれまでの否定は、「アナリティクスの数値は見ていない」「クリックを単純に、直接は使っていない」という意味だった、と読むのが自然だと思います。SEOに詳しい鈴木謙一氏も、2024年に「少なくとも、検索結果のユーザー行動はみています」と解説しています(Web担当者Forum(2024年7月18日))。
では、クリックを増やせば順位は上がるのか
ここで多くの人が考えるのが、「クリックを増やせば上がるのではないか」です。実験の結果は、否定的です。

- Rand Fishkin氏(2014〜2015年):数百人に一斉に検索してクリックしてもらい、10位のページを1位に上げました。ただ、効果は短い期間で、本人も再現は難しいと話しています(Beanstalk、SEO Sherpa)
- Bartosz Góralewicz氏(2015年):ボットで1日最大約3万回の訪問を送りましたが、順位は上がりませんでした(Onely)
- Andre Alpar氏(2024年):クリックの業者から約1万クリックを買って送りましたが、順位は上がりませんでした(Search Engine World)
- SearchPilot(2025年):タイトルの頭に地名を置くA/Bテストで、クリック率は上がりましたが、順位は対照のページより少し下がりました(SearchPilot)
Googleは、機械によるアクセスをスパムのポリシーで禁じています(Google検索セントラル「スパムに関するポリシー」)。NavBoostは13か月分を集計する仕組みなので、短い期間に不自然なクリックを集めても、効きにくいと考えられます。
タイトルの実験は、私にとっても意外でした。クリック率が上がっても、それだけでは順位は上がらない。選ばれたあとに、読んだ人が満足するかまで含めて見られている、と考えるほうが自然です。
滞在時間・直帰率と順位の関係の調査
滞在時間や直帰率と順位の関係を調べた調査も、いくつかあります。
- Backlinko:滞在時間が3秒長いと、順位がひとつ上という相関でした。ただ、データはAlexaのサイト全体の推定値で、著者自身も因果はわからないと書いています(Backlinko)
- Semrush(2017年):直接の訪問・滞在時間・直帰率などが上位の要因として挙がりましたが、順位との相関はどれも0.3未満でした。上位の要因は、相関とは別の手法(ランダムフォレスト)で選ばれています(Semrush、Search Engine Journal)
- Larry Kim氏(2016年):期待より高いクリック率のページほど上位でした。ただ、本人も「クリック率と順位は互いに依存する」と書いています。上位だからクリックされる面もあるためです(WordStream)
どれも相関で、「長く読まれるから上がる」とまでは言えません。
滞在時間は、記事のテーマで大きく違う
もうひとつ、数値の扱いで注意したいことがあります。滞在時間は、記事のテーマや長さで大きく変わります。
たとえば、弊社のコラム58本を、1分に500字のペースで読み終えるまでの時間を計算すると、6分から28分まで幅がありました。

同じサイトの記事でもこれだけ違うので、ジャンルの違うページどうしで滞在時間を比べても、あまり意味がありません。たとえば、言葉の意味だけを知りたい人は、答えがわかれば帰ることもあります。それは失敗というより、満足して帰っただけかもしれません。
私は、滞在時間や直帰率は、1本の記事やひとつのLPを良くするための参考として使うのが意義のある使い方だと考えています。同じページの、直す前と直したあとを比べる。読まれないまま離れている箇所を見つけて、答えを先に置き直す。そうした使い方なら、数値はページを良くする手がかりになります。
AI検索の時代に、クリックはどう変わるか
検索結果のクリックは、順位で大きく違います。Sistrixの調査では、1位のクリック率は28.5%、3位は11%でした(Sistrix(2020年7月)による紹介)。

そこにAIによる概要が加わり、クリックそのものが減っています。Pew Research Centerが米国の成人900人の閲覧記録を調べたところ、AIの要約が出たときに検索結果のリンクがクリックされた割合は8%で、出ないときの15%のほぼ半分でした(Pew Research Center(2025年7月))。Googleは、調べ方に問題があると反論しています(The Register(2025年7月22日))。

Ahrefsの調査でも、AIによる概要が出る検索では、1位のクリック率が約58%下がっていました(Ahrefs(2026年2月))。Seer Interactiveの調査では、AIによる概要が出る情報系の検索で、自然検索のクリック率が2024年6月の1.76%から2025年9月の0.61%に下がっています(Seer Interactive(2025年11月))。
クリックが減るほど、1回のクリックの意味は重くなります。Googleが「すぐ戻らないクリック」を質の目安にしている以上、AIの答えを読んだうえで、それでも押される理由があるページかどうかが問われていきます。
結論:数値を細かく追うより、記事を作るときの心構えとして
ここまでをまとめると、こうなります。
- Googleは、検索結果でのクリックと、その後の行動を集計して、順位づけに使っている
- ただ、クリックを人工的に増やしても、一時的に上がった例はあるものの、長く続いた例や再現できた例はない。アクセス解析の直帰率や滞在時間が使われている証拠もない
- 滞在時間は、テーマや長さで大きく違う。ジャンルをまたいだ比較より、1本のページの改善に使う
順位を直接決める指標ではないにせよ、Googleは少なくとも検索結果での利用者の行動を見ています。私は、クリック率や滞在時間の数値を細かく追いかけるより、記事を作るときの心構えとして押さえておくのがよいと考えています。具体的には、次の3つです。
- 検索結果で選ばれる:タイトルと説明文が、ページの中身と合っているか。期待させて裏切るタイトルは、すぐ戻られる原因になります
- すぐ戻られない:検索した人が知りたい答えを、最初のほうに置いているか。答えにたどり着く前に、前置きが長くなっていないか
- 読み終えて満足する:そのページにしかない情報があるか。読んだ人が、次に何をすればいいかまでわかるか
弊社のAI記事制作代行でも、こうした考え方で、検索した人が知りたいことに答え切る記事を作っています。
よくある質問
Q. アクセス解析(GA)の直帰率を下げれば、順位は上がりますか?
直帰率を下げること自体で、順位が上がるとは言えません。Googleは、アナリティクスの直帰率は使っていないと答えています。ただ、直帰率が高い理由を探して、答えを先に置くなどページを良くすれば、検索した人の満足につながります。
Q. クリックを増やすサービスを使うと、順位は上がりますか?
おすすめしません。実験では、一時的に上がった例はあっても長くは続かず、ボットや業者のクリックでは上がりませんでした。また、Googleは機械によるアクセスをスパムとして禁じています。
Q. 滞在時間は、何分くらいあれば十分ですか?
目安はありません。テーマや記事の長さで、適切な滞在時間は大きく違います。ほかのサイトや別の記事と比べるより、同じページの直す前と直したあとで比べるのがおすすめです。
Q. タイトルでクリック率を上げる意味はありますか?
あります。順位が同じでも、クリック率が上がれば訪問は増えます。ただ、中身と合わないタイトルでクリックを集めても、すぐ戻られれば意味がありません。中身を正しく伝えたうえで、選ばれるタイトルにするのが大事です。
まとめ
Googleは長いあいだ、クリック率や滞在時間を順位に使うことを否定してきました。しかし、裁判と流出した内部の文書で、検索結果でのクリックとその後の行動を、NavBoostなどで集計して使っていることがわかりました。一方で、クリックを人工的に増やしても、長く続く効果は確かめられておらず、アクセス解析の直帰率や滞在時間が使われている証拠もありません。
数値を細かく追うより、検索結果で選ばれて、読んだ人がすぐ戻らず、満足して帰れるページを作る。それが、2027年に向けてもいちばん確かなやり方だと考えています。
参考:Search Engine Roundtable(2008年)/Page One Power(2015年)/Search Engine Roundtable(2019年)/Search Engine Roundtable(2020年)/Search Engine Roundtable(2021年)/Search Engine Roundtable(2023年)/米国 対 Google 審理の記録(2023年9月21日)/米司法省の証拠資料/判決(2024年8月5日)/SparkToro(2024年5月)/iPullRank(2024年5月)/The Register(2024年5月29日)/Google「How Search Works」/Google公式ブログ(2025年8月6日)/Web担当者Forum(2024年7月18日)/Beanstalk/SEO Sherpa/Onely/Search Engine World/SearchPilot(2025年3月)/Google検索セントラル「スパムに関するポリシー」/Backlinko/Search Engine Journal(Semrushの調査)/WordStream(2016年5月)/Blog du Modérateur(Sistrixの調査)/Pew Research Center(2025年7月)/Ahrefs(2026年2月)/Seer Interactive(2025年11月)




