- ChatGPTが引用したページは100%、ChatGPT自身の検索で拾われたページだった。引用の差は、ページの作り(2.8%)より、AIの検索で拾われるか(32%)で説明できた
- FAQ・構造化データ・要約の枠などは、同じサイトの中で比べると引用を増やしていなかった。効いていたのは、質問とタイトル・段落が合っていること
- AIは知っているブランドを、裏付けのページがなくても挙げる。研究では、小さなBtoBの市場ほど、第三者のページに名前が載っていることの影響が大きかった
こんにちは、アースダイバー代表の佐藤です。AIが広がって、ウェブマーケティングは取るべき戦略も、実行のやり方も変わりました。アースダイバーは、その新しい前提で戦略を考え、実行する仕組みまでつくる会社です(ご相談はこちら)。
AIに引用されるページと、引用されないページは、何が違うのか。AIの答えで名前が挙がる会社と、挙がらない会社は、何が違うのか。AI検索対策をしている人なら、だれもが知りたいところだと思います。
2026年10月、この問いを大きなデータで調べた研究が出ました。トロント大学のMahe Chen氏・Nick Koudas氏による「What Drives AI Citations?(AIの引用を決めるものは何か)」です(arXiv)。ChatGPT・Gemini・Perplexityの答え約16万件、引用約47万件を90日間追いかけた、大きな研究です。
先に、論文のまとめの一文を紹介しておきます。
ページは検索されたときに引用され、ブランドは覚えられているときにも名前が挙がる。Pages are thus cited when searched; brands are also named when remembered.— Mahe Chen氏・Nick Koudas氏(トロント大学)、2026年10月
この記事では、研究の中身をなるべく具体的に紹介し、最後に、弊社の見解と、弊社の診断のデータでも同じことが見えているかをお話しします。
目次
どんな研究か
研究の対象は、2つの市場です。ひとつは、米国の家庭向けインターネット回線の市場で、大手が強い市場です。回線会社向けに作った651の質問を使いました。もうひとつは、建築・建設会社向けの提案書作成ソフトという、小さなBtoBの市場です。こちらは55の質問を使っています(arXiv)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 市場 | 家庭向け回線と、提案書作成ソフト |
| 質問の数 | 家庭向け回線が651、提案書作成ソフトが55 |
| 期間 | 2026年6月24日〜9月21日の90日間、毎日 |
| 聞いたAI | ChatGPT・Gemini・Perplexity |
| 集めた数 | 答えが158,099件、引用が468,037件 |
この研究の特徴は、比べ方にあります。よくある調査は、引用されるページと引用されないページを、サイトをまたいで比べます。この研究は、同じサイトの中のページどうしを比べています。サイトの知名度や強さの違いが、結果に混ざらないようにするためです。
さらに、AIが答えをつくるときに自分で行った検索も、APIで質問をやり直して記録しています。AIがどんな検索をして、どのページを拾い、どれを引用したかまでわかる作りです。
発見1:FAQや構造化データは、同じサイトの中では差が見られない
まず、AI検索対策でよくすすめられる、ページの作りの工夫です。要約の枠・FAQ・著者の表示・ページの速さ・構造化データを調べています。

サイトをまたいで比べると、どれも引用が多いように見えます。たとえばFAQがあるページは、引用が18.1%多くなっていました。ところが、同じサイトの中で比べると、FAQは−3.4%で、どの工夫にも有意な差は見られませんでした。
論文は、これを「シンプソンのパラドックス」と呼んでいます。こうした工夫は、もともと別の理由でよく引用されるサイトほど取り入れています。たとえばFAQは、よく引用されるサイトの上位4分の1ではページの43%にありましたが、下位4分の1では23%でした。そのため、サイトをまたいで比べると、工夫そのものが効いているように見えてしまう、ということです。
見出しの数・表・リスト・文章の長さといった、ページの構造も、ほぼ効いていませんでした。
発見2:効くのは、質問とページが合っていること
では、同じサイトの中で何が効いていたのか。はっきり効いていたのは、質問とページの中身が合っているかだけでした。
質問にいちばん合っている段落の合い方が1標準偏差よいページは、引用が15.5%多く、タイトルが質問に合っているページは14.1%多くなっていました。比較サイトなど第三者のページでは、それぞれ25.7%・23.6%と、さらに大きな差です。
また、古いページほど引用は少なくなっていました(1標準偏差あたり−5.1%)。ただし、分析の仕方によっては選ばれない場合もある、弱い結果です。
発見3:引用されるかは、AI自身の検索で拾われるかで決まる
この研究のいちばんの発見は、ここです。ChatGPTが引用したページ22,315件は、100%が、ChatGPT自身の検索で拾われたページでした。

ChatGPTは、自分の検索で1位に拾ったページの43.8%を引用していました。6〜10位では12.2%、11〜20位では3.5%です。同じサイトの中で、どのページがよく引用されるかの差のうち、ChatGPTの検索で拾われるかで約32%を説明できました。ページの作りで説明できたのは、2.8%にとどまります。
ここで気をつけたいのは、AIの検索は、私たちがふだん使うGoogleの検索とは別物だという点です。ChatGPTは、ひとつの質問から4つほどのキーワード型の検索語を自分で作ります。しかも、同じ日に同じ質問をしても、作る検索語はほとんど重なりませんでした。ChatGPTが拾ったページの97%は、Googleの上位50件に入っていなかったそうです。
一方で、Seer Interactiveの調査では、ChatGPTの引用の87%がBingの上位20件と一致していました(Seer Interactive)。今回の研究では、ChatGPTが拾ったページの99%がBingの上位30件に入っておらず、結果が分かれています。調べた時期・モデル・比べ方が違うので、どちらが正しいとは言えません。どちらの研究からも言えるのは、AIは、ユーザーの質問をそのまま検索するのとは違い、自分で検索語を作って調べる、という点です。仕組みはクエリ・ファンアウトの記事でくわしく書いています。
発見4:AIは、知っているブランドの名前を挙げる
もうひとつの大きな発見は、AIの「知識」です。ChatGPTは、検索しなくても知っているブランドを、自分の検索語に入れていました。知っているブランドなら67%、知らないブランドなら11%です。
また、質問の中に出てこないブランドをChatGPTが挙げたとき、その46%は、そのブランドに触れたページを引用していませんでした。裏付けのページがなくても、知っているから名前を挙げているということです。
研究チームは、検索を使わないモデルで、中身が同じ商品の名前だけを変える実験もしています。

同じ中身の商品が、ある名前ではChatGPTの上位3つに80%の答えで入り、別の名前では39%でした。実際のブランドでも、名前を明かすと順位が大きく動いています。たとえば、ある大手の回線会社は、名前を明かすと上位3つに入る割合が33ポイント下がりました。ほかの会社では、名前を明かすと上がった例もあります。
小さなBtoBの市場でも、同じ結果だった
この研究は、小さなBtoBの市場でも同じことを確かめています。ここで目を引くのは、第三者のページの影響の大きさです。
比較サイトなど第三者のページが引用され、そこにあるソフトの名前が載っていると、AIがそのソフトの名前を挙げる確率(オッズ)は、次のように高くなっていました。
| AI | 小さなBtoBの市場 | 家庭向け回線の市場 |
|---|---|---|
| ChatGPT | 39.7倍 | 4.2倍 |
| Gemini | 17.7倍 | 6.3倍 |
この研究の2つの市場では、小さな会社の市場のほうが、第三者のページに名前が載っていることの影響が大きかったことになります。
一方で、ChatGPTのモデルが検索なしで小さなBtoBのソフトの名前を挙げたのは、質問の2〜16%にとどまりました。大手なら61〜72%です。Geminiのモデルでは60〜96%と高く、AIによって差があります。AIがもともと知らない会社ほど、検索で拾われるページと、第三者のページでの言及が大事になると考えられます。
AIの引用は、数週間で入れ替わる
最後に、引用の移り変わりです。2週間あけて比べると、ChatGPTが引用したページのうち、同じだったのは40%でした。10週間あけると14%です。Perplexityでは、10週間で同じページはなくなっていました。
1回測っただけで、AIでの見え方を判断するのは危ういことがわかります。
弊社の診断でも、同じことが見えている
ここで、弊社の見解をお話しします。この研究の結論は、弊社がAI検索診断で見てきたことと、かなり重なっています。
あるご支援先のサービスについて、比較検討の質問を3つのAIに聞いた診断(出典が表示された137の答え)では、公式ページが出典に入った答えでは、サービスの名前が100%で挙がり、66%で1位でした。公式ページが出典に入らなかった答えでは、名前が挙がったのは53%、1位は20%でした(llms.txtのQ&A)。
これは、研究の2つの発見に近い傾向です。自社のページが検索で拾われて引用されると、名前が挙がりやすく、上位にもなりやすい。それでも、出典に自社のページがない答えでも、半分ほどは名前が挙がっていました。AIがもともと知っているか、ほかのページで名前を見ているからだと考えられます。
プレスリリースの計測でも、AIに名前が挙がるかどうかと、特定のページが引用されるかどうかは別だと見えていました。展示会に合わせたリリースについて質問をAIに聞いたところ、78の答えのうち、会社の名前が出たのは39、リリースが出典に入ったのは3でした(プレスリリースのQ&A)。
読み解き:企業がやっておきたいこと
研究と弊社の診断をふまえて、企業がやっておきたいことをまとめます。
- 推薦されたい質問に、タイトルと段落で直接答えるページを作る。研究で唯一はっきり効いていたのは、質問とページが合っていることでした。比較・料金・選び方など、お客さまがAIに聞く質問ごとに、答えるページを用意します
- AIの検索で拾われることを目指す。この研究では、ChatGPTに引用されたページはすべて、ChatGPT自身の検索で拾われたページでした。その検索の結果は、今回の計測ではGoogleの上位とほとんど重なっていません。AIが作る検索語に、意味の上で合うページを用意します。一方で、GoogleのAIによる概要やAIモードは、Google検索のランキングの仕組みをもとに答えをつくると、Google自身が説明しています。GoogleのAIに向けては、SEOが引き続き土台です(SEOはもう終わりかのQ&A)
- 第三者のページで名前が挙がるようにする。この研究では、小さな会社の市場ほど、比較サイト・業界メディアで名前が載っていることが効きます
- FAQや構造化データだけに期待しすぎない。入れて悪いものではありませんが、それだけで引用が増えるとは考えないほうがよさそうです
- 質問ごとに、繰り返し測る。引用は数週間で入れ替わります。測り方はAI検索対策の効果とKPIのQ&Aにまとめています
この研究の限界
最後に、論文自身が挙げている限界にも触れておきます。
- 結果は相関で、因果まで確かめたものではない
- 質問は英語で、米国の市場。日本語や日本の市場で同じ結果になるかはわからない
- 質問は、著者たちのモニタリングの仕組みを使う会社向けに作られたもの
- AIの検索の記録は、一般の利用者向けのアプリと違うAPIで取っている
- 名前を変える実験などは、小さなモデルと作った情報で行っている
- 引用されたURLの約3分の1は、ページを取得できず分析できなかった
- BtoBの市場のデータは小さい
- AIは日々変わるので、結果は2026年時点のもの
こうした限界はありますが、同じサイトの中で比べるという方法で、AIの引用を「ページの作り」「AIの検索」「AIの知識」に分けて測った研究です。AI検索対策で何に力を入れるかを考えるうえで、参考になる研究だと思います。
AIの研究を幅広く読み解いた記事としては、AI検索対策の研究45本を読み解いた記事もあわせてどうぞ。
自社のページがAIにどう拾われ、どの質問で名前が挙がっているかは、実際に測ってみないとわかりません。
参考:Mahe Chen, Nick Koudas「What Drives AI Citations? Content, Retrieval and Model Knowledge in Generative Engine Optimization (GEO)」(arXiv、2026年10月)/Seer Interactive「87% of SearchGPT Citations Match Bing's Top Results」


