
ご質問ありがとうございます。最近、BtoBの比較サイトから「AI検索対策として、記事広告を出しませんか」という提案を受けた、というご相談が増えています。
結論から言うと、AI検索対策を主な目的に記事広告を出すのは、おすすめしていません。AI検索への費用対効果を測るのが難しく、比較サイトに広告を出せば推薦されやすい、という前提も変わり始めているとみているからです。ただ、広告がAIの答えに関係しない、という単純な話でもありません。大事なのは、広告に何を載せるかです。伝わる人が増えることで、結果としてAIの答えに表れることもあります。費用次第では、問い合わせ・認知といった本来の目的で出す広告に、AI検索への効果もついてくればいい、という考え方で検討する余地はあります。
まず、比較サイトがこうした提案をしてくる背景です。BtoBのサービスについてAIに聞くと、比較サイトのページが出典によく出てきます。弊社のご支援先の診断でも、AIの答えに表示された出典のうち、約3割が比較サイト・レビューサイトのページでした。
海外では、引用されること自体を売り物にする動きもあります。ソフトウェアのレビューサイトのG2は、2025年9月に、掲載している会社向けに、AIの答えでG2のページがどれだけ引用されているかを見られる機能を、試験提供として発表しています(G2)。比較サイトにとって、AI検索は新しい売り物になり始めています。
一方で、AIが何を引用するかは、ここ半年でも大きく変わっています。Ahrefsの調査を紹介した記事によると、2026年3月から9月にかけて、ChatGPTの引用は、掲示板や百科事典、解説サイトなどから、行政・研究機関・企業のサポートページといった、元の情報を出しているサイトへ移っています。答えの中でRedditを引用する割合は、3月の19.1%から9月下旬には2.3%に、Wikipediaは14.1%から2.9%に下がりました。「AとBの違い」のような比べる質問では、答えの68.3%が少なくともひとつの公式の情報源を引用していました。事実を聞く質問の84.4%よりは低く、比べる質問では第三者のサイトも引き続き引用されています(Relevant Audience(Ahrefsの調査の紹介))。米国で、ログイン不要の無料版のChatGPTを調べたもので、ひとつのモデル・半年間のデータです。

弊社のご支援先の診断でも、サービス名で聞いた質問では、ChatGPTは公式のFAQや価格ページを中心に出典にしていました。比較サイトの出典が多いことは変わりませんが、公式サイトに答えが書いてあるかが、以前より問われるようになってきていると、私たちは見ています。モデルが新しくなるたびに、この傾向は強まっていると感じています。
比較サイトのページが引用されることと、そのサイトの広告枠が引用されることも、別の話です。
PRツールのMuck Rackが、ChatGPT・Claude・Geminiの答えに出た2,500万件以上のリンクを調べた2026年5月の調査では、引用の84%が報道など第三者が発信したもので、広告・記事広告は0.3%でした(Muck Rack「What Is AI Reading?」の発表)。

弊社のご支援先の診断でも、AIが引用していた比較サイトのページは、主に編集部がつくる比較記事と、サービスごとの掲載ページでした。
有料の枠がAI検索に効くかどうかは、海外でも議論になっています。2026年9月に出た「The Rented Citation」という記事は、有料の掲載について、次のように整理しています(AI Search Optimization)。
ただ、この数字から「広告は意味がない」と言い切るのは、単純すぎると思っています。広告の表示そのものが割り引かれることに加えて、載せている中身が宣伝の文章だと、AIが答えの根拠にしにくい、というのが私たちの見方です。
また、広告は、お金をかけた分だけ、検索向けのふだんのコンテンツより多くの人に届けやすい手段です。たとえば、間違ったイメージが広まっていて、それを正しいメッセージに切り替えたいとき。広告で正しいメッセージを広く届けると、それを見た人が社名で検索したり、記事やSNSで触れたりします。そうして新しい言及が増えていけば、結果としてAIの答えが変わっていく可能性はあります。広告そのものが引用されるのとは別の、遠回りの効き方です。
広告の形だから効かない、という見方より、何を載せるか、その中身が報道や第三者の言及につながるか、で考えるほうがよいと思っています。
もうひとつの問題は、かけた費用に対して、AI検索でどれだけの効果があったかを測りにくいことです。AIの答えは聞くたびに変わりますし、同じ時期にほかの施策も動いています。記事広告を出したあとにAIで名前が出るようになっても、それが記事広告のおかげなのかは切り分けにくく、費用に見合ったかどうかを判断できません。測り方については、AI検索対策の効果とKPIのQ&Aでもお話ししています。
AIでの見え方だけを目的に、費用対効果を確かめにくい広告費をかけ続けるのは、判断として難しいと思います。意見が分かれているものに、まとまった予算をかけるのも同じです。
それでも検討する価値があるのは、AI以外の効果がはっきり見込めるときです。比較サイトには、サービスを比べて検討している人が集まります。そこで問い合わせ・資料請求が取れるなら、その成果で費用を判断し、AI検索への効果はおまけとして考えます。
広告として出すなら、何を伝えるかと、いつ出すかが効果を左右します。新しい機能を出したとき、料金を改定したとき、導入事例がまとまったときなど、伝える中身があるときに出すほうが、読む人に届きやすくなります。プレスリリースとの使い分けは、プレスリリースとAI検索のQ&Aをご覧ください。
一方で、AIが引用している比較サイトのページには、サービスごとの掲載ページも多くあります。広告を出す前に、掲載情報が古くなっていないか、料金・プランの名前が合っているかを確かめるほうが先です。古い情報がAIに引用されてしまう例は、AIに自社を間違って説明されたときのQ&Aで紹介しています。
比較サイトからAI検索対策として提案を受けたときは、次のことを聞いてみてください。答えられるかどうか自体が、判断の材料になります。
自社のカテゴリで、AIがどの比較サイトのどのページを引用しているかは、弊社のAI検索診断で実測できます。提案を受ける前に、一度確かめておくと判断しやすくなります。